エンタメ大手のバンダイナムコホールディングスの2021年3月期第1四半期(4月~6月)決算は、新型コロナ感染症の影響を受け減収減益となった。アミューズメントや映像・音楽関連が特に大きな影響を受けたが、連結売上高は1450億3500万円(8.9%減)、営業利益は199億1500万円(12.8%減)と下げ幅は小幅にとどまった。
在宅の追い風を受けてスマホアプリゲームが好調だったネットワークエンターテインメント事業が増収増益で全体を下支えした。過去10年あまりで積極的に展開した事業の多角化が功を奏した。
バンダイが中心となるトイホビー事業の売上高は544億2100万円(4.3%減)、営業利益は63億3800万円(6.9%減)だった。
新型コロナウイルス感染拡大の影響は、アミューズメント施設でのプライズやデジタルカード、欧米地域での小売店休業の影響に現れた。一方で大人向けのハイターゲット層商品がデジタル販売・マーケティングで好調だった。海外もアジアでハイターゲット商品が安定的に推移した。
新型コロナの影響が大きかったのは、アミューズメント施設関連のリアルエンターテインメント事業とアニメ映像・アニメ音楽の映像音楽プロデュース事業である。
リアルエンターテインメント事業の売上高は66億200万円(69.5%減)、営業損失56億6300万円。施設運営の休業が響いた。
アニメ関連が中心となる映像音楽プロデュース事業は、ライブイベントの開催中止や映像・音楽作品の制作スケジュールの遅れの発生、パッケージソフトの発売延期が減収減益要因となった。売上高は40億2400万円(56.2%減)、営業利益が1億5800万円(88.0%減)である。
一方でアニメ企画・制作・ライセンスが中心のIPクリエイション事業の売上高は大きく伸びて46億2800万円(41.8%増)だ。主要タイトルは「機動戦士ガンダム」シリーズ、「ラブライブ!」シリーズ。売上の増加は、今期よりアニメライセンス事業の創通が、グループに加わった効果とみられる。
しかし営業利益は8億1400万円(28.6%減)である。ここでも新型コロナの影響は少なくなかったとみられる。
ネットワークエンターテインメント事業は売上高778億5000万円(9.3%増)、営業利益が195億1500万円(35.2%増)。
ネットワークゲームで国内では「アイドルマスター」シリーズ、グローバルでは「DRAGON BALL」シリーズや「ワンピース」が好調だった。家庭用ゲームでもデジタル需要が拡大しており、「ドラゴンボールZ KAKAROT」、「TEKKEN(鉄拳)7」、「DARK SOULS」シリーズのリピート販売が伸びた。ゲームのデジタル流通の普及が業績を支えている。