第33回東京国際映画祭が、2020年10月31日から11月9日まで東京・六本木を主会場に開催される。2020年は年明けから始まった新型コロナウィルス感染症の拡大の影響で、世界各国の国際映画祭が中止・延期・規模縮小を迫られている。こうしたなかで東京国際映画祭は、映画館での上映を含む現地開催を決断した。
今回の決定について映画祭側は、「映画を観る喜びを再認識し、映画の未来への希望の光を灯す」、「映画を通じて国際的な連帯を強める」、「コロナ後の映像文化についての考察を深める」との目的を掲げる。コロナ禍であるからこそ、映画についてあらためて考えるというわけだ。
また海外では8月初旬に上海国際映画祭が、コロナ以後で初めての大型国際映画祭として開催されている。8月末にはヴェネチア映画祭、9月にはトロント映画祭の実施も予告されている。こうした状況も踏まえて東京国際映画祭のリアル開催につながったとみられる。
それでも開催形式は、大きく変わらざるをえない。海外からの審査委員や監督、プロデューサーの来日が困難なことから「インターナショナルコンペティション」、「アジアの未来」といったコンペティション部門を本年は実施しない。この2部門に「日本映画スプラッシュ」も加えた3部門を統合し「TOKYOプレミア2020」とする。全部で30本程度の上映プログラムが予定し、全作品からの観客投票によって選出する観客賞のみを設ける。
映画館での上映だけでなく、従来のシンポジウムやゲストトークなども実施するが、こちらはオンラインも活用することになる。上映部門はこれ以外にも予定されており、後日発表となる。
さらに2020年は大きな話題がある。これまで海外で高く評価されてきた東京フィルメックス映画祭が、東京国際映画祭との連携を強める。両映画祭の開催時期を重ねることで、映画の話題と集客を高める。映画祭側では東京フィルメックス映画祭の位置づけを、カンヌ映画祭における「カンヌ監督週間」と似たかたちとと説明している。異なる特徴を持つ2つが補完関係を持つと考えるとよいだろう。
またすでに国際見本市のTIFFCOMの開催も同期間であることが決まっている。こちらもリアルの会場とオンラインを併設した内容になるとしている。
いずれもこれまでにないかたちながら、東京国際映画祭、TIFFCOM、東京フィルメックス映画祭の3つが連携した新しいかたちになる。2020年は様々な点で、新しい東京国際映画祭の出発になる。
第33回東京国際映画祭
https://2020.tiff-jp.net/ja/
2020年10月31日(土)~11月9日(月)
六本木ヒルズ、EX シアター六本木ほか
TIFFCOM2020
https://tiffcom.jp/
2020年11月4日(水)~11月6日(金)
ザ・プリンスパークタワー東京