オタワ国際アニメーション映画祭が公式作品発表、WIT STUDIO「とつくにの少女」など

the Ottawa International Animation Festival

 オタワ国際アニメーション映画祭(The Ottawa International Animation Festival)が、2020年の公式セレクションを発表した。
 オタワは世界4大アニメーション映画祭のひとつで、実験的な作品を得意とすることで知られている。毎年秋にカナダで開催されるが、本年は新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりで9月4日から23日までオンラインイベントとして実施される。フランス・アヌシーに続き、大型アニメーション映画祭のオンライン版となる。

 公式セレクションには世界84ヵ国から1950本のエントリーがあった。例年よりやや少なく、ここでも新型コロナウイルス感染症の影響があったと思われる。
 それでも世界有数のアニメーション映画祭だけに、粒揃いのセレクションだ。長編部門には6作品、短編部門は「Narrative(ストーリーもの)」、「Non-Narrative(非ストーリーもの)」、「学生」、「受託作品」、「子ども向け(6歳~12歳)」、「未就学児向け」、「シリーズ作品」の7部門を合わせて92本が選ばれている。
 このほかカナダ学生部門が16本、コンペティションとアワードの対象にならないパノラマが41本ある。全て合わせると150作品以上とかなりの量になる。

 オフィシャルコンペには、日本からの作品も少なくない。短編(Narrative)では和田敦さんの『My Exercise マイエクササイズ』、制作は日本のアニメーション製作・配給のニューディアーが担当している。短編(Non-Narrative)に選ばれた『ビヨンド 能』は、米国のパトリック・スミスと日本のイシダカオリさんの共同制作だ。
 また日本人アーティス二瓶紗理奈の『Polka-dot boy』はフランス作品として、日本出身でドイツ在住の原翔子さんの『Just A Guy』がドイツ作品として「Narrative」短編にラインナップされた。
 学生部門は竹之下桃さんの『Doghead』、受託部門は冠木佐和子さんが栗コーダーカルテットの楽曲「サウスポー」のために制作したMV、さらにTOCHKAがアーティストOnoe Caponoe の楽曲「The Message」のために制作したMVはオランダ・イギリス・日本の共同制作としてコンペティシヨン入りしている。日本関係は国境を超えた作品が少なくない。これまでもたびたび国際映画祭に参加しているアーティストの名前が多く並ぶのも特徴だ。。

 目を惹くのは、キッズ向けに日本作品が多くあることだ。なかでも『進撃の巨人』などで知られるWIT STUDIO制作の『とつくにの少女』は注目される。同名の人気マンガを原作に久保雄太郎さんと米谷聡美さんが監督をし、単行本8巻初回限定版の特典とされた作品である。短編「子ども向け(6歳~12歳)」に選ばれている。
 さらにNHKエンタープライズの『プチプチ・アニメ ふわふわアワー』「ふしぎなタネ」(溝口広幸)、『清水煩悩-シャラボンボン』(幸洋子)、『ビーズの森のらびぃ』「おかたづけ」(はしもと まさむ)の3作品が短編「未就学児向け」にセレクションされている。

オタワ国際アニメーション映画祭 2020年セレクション
https://www.animationfestival.ca/index.php?option=com_oiaf&task=showselections

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