アニメ製作会社の老舗シンエイ動画の名誉会長・楠部三吉郎氏が、2020年3月20日に死去したことが明らかになった。1938年生まれ、82歳だった。
楠部氏は大学卒業後、メーカーの営業職を経てアニメ製作会社の東京ムービー入社した。ここでアニメ企画・プロデュースの経験を積んだ。
1976年には、アニメーターであった兄の楠部大吉郎と共に自身のアニメ製作会社のシンエイ動画を設立する。1990年に代表取締役社長に就任。2009年に名誉会長として退くまで29年間、同社のトップとして経営の手腕を発揮した。
シンエイ動画は、前身となるAプロ時代から数えると50年を越える歴史を持つ国内アニメスタジオの老舗である。キッズ向けのアニメを得意とし、『ドラえもん』、『クレヨンしんちゃん』といった人気番組を多数制作している。なかでも1979年の『ドラえもん』の再アニメ化では、楠部三吉郎氏の役割が大きかった。それがいまに続く、一大ブランドにつながっている。
企業経営面でも、2009年に大きな決断をしている。自身保有のシンエイ動画の全株式をテレビ朝日に売却。社長を退任、名誉会長に就任することでシンエイ動画を同族経営から切り離し、自らも経営の前線から離れた。