世界最大のアニメーション映画祭として参加者数と存在感が増すフランス・アヌシー国際アニメーション映画祭が、映画の上映回数と座席数の拡大に乗り出した。2020年1月15日、映画祭を運営するCITIAは6月15日から20日まで開催される映画祭において、映画の上映回数とそれに伴う座席数を大幅に増やすと発表した。
座席数の拡大は既存の会場での上映回数を増やすことと、新たな劇場での上映で実現する。これにより映画祭期間中に新たに2万1700席を生み出す。2019年比で26%増となり、年々困難になっているチケット予約の問題の一部を克服する。
上映回数の増加は、まずメイン会場ボリュー(Bonlieu)の大小ふたつのホールの上映開始時間を8時半まで繰り上げる。モーニング・スクリーニング(Morning screenings)として、事前に作品を鑑賞したい主にプロフェッシナル向けのプログラムとする。
ワーキング・イン・プログレス(Work in Progress.)など、主にセミナーやトークを中心にプログラムを組んできた会場ピエール・ラミーでは、夜19時以降に映画上映を実施する。メイン会場の有効活用を図ることになる。
また「The Auditorium Seynod」と「Le Rabelais」のふたつの映画館を新たに会場に加える。ただこのふたつは車で移動が必要な郊外になるので、連絡バスなどを使うことになるだろう。
日本からの来場者にとって大きな影響のある新たな方針も決定した。メイン会場ボリューでの鑑賞が、映画祭のバッジホルダーに限定されることになった。これまでは一般市民などにもチケットが販売されていたが、プロフェッショナル向けに特化するかたちだ。
日本から参加者は、期間中ほとんどのプログラムに出入り出来るバッジ購入が大半なので、鑑賞機会が増えることになる。
アヌシー国際アニメーション映画祭は1960年代より開催され、今年で60周年を迎える。21世紀に入ってからの積極的な映画祭拡大戦略もあり、世界のアニメーション界で際立った影響力を持つようになった。参加者も急拡大しており、2019年にはバッジホルダーだけで1万2300人に達した。
一方で近年は上映プログラムのチケットがなかなか取れない、有力プログラムは予約開始から数分で完売になってしまうなどの座席数の不足が指摘されていた。今回の座席数増加はそれに対応するもので、映画祭のさらなる拡大を視野にいれるのだろう。