マンガやアニメ・ゲームなどを原作にする「2.5次元」と呼ぶミュージカル・演劇に、国内大手出版社が積極的に乗り出す。2.5次元ステージの企画・運営の大手ネルケプランニングは、2020年1月15日に第三者割当増資を実施したことを明らかにした。
新たな株式の割当先は講談社、集英社、小学館の3社で、日本の出版社大手のトップ3が並んだ。増資金額は非公開。ネルケプラニングは出版3社が株主に加わり、資本参加することで、既存の事業が強化出来るだけでなく、協業による新規ビジネス開発や事業領域の拡大を目指すとしている。
ネルケプラニングは1994年設立で、ミュージカルや演劇などの企画・運営、イベントのプラニングなどを手がける。なかでもアニメ・マンガ・ゲームを原作に、キャラクターや世界観を3次元で実現する「2.5次元」と呼ばれるステージを得意とする。
『テニスの王子様』、『美少女戦士セーラームーン』、『NARUTO‐ナルト-』、『刀剣乱舞』などの代表作で急成長を遂げてきた。社員は約150名で、この分野では最大手だ。
2.5次元ステージは2010年代以降の演劇界の台風の目玉で、公演演目、回数、動員とも急激に増えている。日本動画協会の調査によれば、2013年の市場は87億円だったが、2018年には226億円まで拡大した。
こうした演目の原作には、今回資本提携した大手出版社の作品も多い。ネルケプランニングにとっては新たな投資資金に加えて、集客力のある人気原作の確保の役割も期待出来るだろう。
出版3社とっては、急成長市場である2.5次元ステージのビジネスにより密にアプローチできることが大きい。紙での書籍・マンガ・雑誌の売上高が長期低落傾向にある出版社はデジタル出版以外でも事業多角化が必要とされている。そのひとつに2.5次元ステージがあるというわけだ。
自社作品のマンガやそのアニメ化作品と連動した舞台づくりで、より連携したメイディアミックスが実現可能になる。また自社主催のステージも視野に入るだろう。講談社は先頃、池袋にライブ中心の施設計画を発表したばかりだ。
さらに大手3社の連携した出資は、海外進出など出版業界を連携させたプロジェクト実現も考えられる。ネルケプラニングは、これまでも『美少女戦士セーラームーン』、『NARITO‐NARUTO-』などの海外公演をしており、2.5次元ステージの海外進出に積極的だ。
ネルケプラニング
https://www.nelke.co.jp/