テレビ東京・アニメ事業上期売上げ116億円 前年比16.4%増で好調

ファイナンス決算

 テレビ東京ホールディングスのアニメ事業が好調だ。2019年10月30日に発表された2020年3月期第2四半期連結決算では、売上高715億5700万円(0.7%減)、営業利益14億3000万円(33.6%減)と減収減益となったが、アニメ事業は増収増益を維持した。

 同社のアニメ事業はグループの中核会社テレビ東京のライツ事業アニメ部門にあたるが、ここだけで全体売上高の16%にあたる116億円を稼ぎ出す。前年同期比で19.4%増にもなり、半期で初めて100億円台の大台を超えた。通期では219億6200万円と前年比8.2%を予測する。
 好調の理由は海外事業の伸びにある。国内は33億5900万円(1.5%増)とほぼ前年並みだったのに対して、海外は82億7700万円と28.6%増の高い伸びとなった。海外向けが事業の拡大を支えたかたちだ。テレビ東京では、中国、アジア、北米と広い地域で売上げが好調としている。中国向けでは『NARUTO』のゲーム売上高が大きかった。この結果、アニメ事業に占める海外比率は71.1%と全体の7割を超えた。

 タイトル別では「NARUTO」シリーズの貢献が大きい。売上高、粗利益とも1位は『NARUTO』、2位はその続編となる『BORUTO』となっている。両作品は、とりわけ海外での高い人気がよく知られている。売上高の3位は『遊戯王』、粗利益の3位は『ポケットモンスター』になる。
 長年の人気作品だけなく、新しい世代の作品の登場を期待したいところだが、『ブラッククローバー』にその可能性がありそうだ。売上高、粗利益とも第4位と健闘している。田畠裕基が「週刊少年ジャンプ」に連載するマンガをアニメするものだが、テレビアニメシリーズは2017年10月に始まり、まだ2年。好調なビジネスが今後の成長を期待させる。

2020年2月期上半期 アニメタイトル別ランキング(売上高)
① 『NARUTO』
② 『BORUTO』
③ 『遊戯王』
④ 『ブラッククローバー』
⑤ 『BLEACH』

2020年2月期上半期 アニメタイトル別ランキング(粗利益)
① 『NARUTO』
② 『BORUTO』
③ 『ポケットモンスター』
④ 『ブラッククローバー』
⑤ 『遊戯王』

 実写ライセンス事業にあたるコンテンツ事業は、売上高28億3400万円と10.2%の減少。全体の半分以上にあたる14億9100万円が国内動画配信向けと、配信への依存が大きい。一方海外は1億9500万円と全体の約7%と、今後の開拓余地はありそうだ。
 コンテンツ事業の売上で一番大きなタイトルはバラエティ番組の『⻘春高校3年C組』。パラビ向けのオリジナルドラマ『癒されたい男』と『びしょ濡れ探偵 水野羽衣』が4位、5位に入っているのが、新しいトレンドである。配信向けのライツ事業はBSテレビ東京でも伸びている。

 アニメ関連ではCS放送のアニメ専門チャンネル運営のエー・ティー・エックスが売上高27億9800万円(5.8%増)。ただし「AT-X」の加入者数の減少傾向は続いている。広告関連売上げやライツ売上げでカバーした。

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