「AKIRA」再アニメ化に劇場新作 サプライズ続出!アニメエキスポ2019大友克洋パネルレポート

「Legend, Katsuhiro Otomo New Projects Announcement」

 日本を代表するSFマンガの傑作『AKIRA』が誕生から38年を迎えた2019年、本作が新たな映像に挑戦する。すでにワーナー ブラザースによる実写映画化も発表されているが、これとはまた別に『AKIRA』が再びアニメ化されることが明らかになった。
 2019年7月4日、米国ロサンゼルスで開催された北米最大のアニメイベントAnime Expo 2019で「Legend, Katsuhiro Otomo New Projects Announcement」とタイトルしたトークイベントが実施された。これに参加した作者の大友克洋氏が、新プロジェクトのひとつとしてアニメ化を語った。『AKIRA』は1988年に大友克洋氏自身が監督になり劇場アニメ化されている。いまでもSF映画、アニメ映画の時代を超えた傑作として知られているが、30年の月日を経て初めての再アニメ化になる。世界のアニメ・映画・SFファンを驚かせるビッグニュースだ。

 Anime Expo 2019でのイベントは、大友克洋氏にスポットライトをあてた特別企画として実施された。日本からの大物クリエイターのゲストの多いAnime Expoだが、大友氏のゲスト出演は今回が初となる。それだけに待ちに待ったファンも数多かった。
 今回はパネルタイトルに「新作プロジェクト発表(New Projects Announcement)」としたこと、大友克洋氏がゲストであることとから、当初よりかなり大きなニュースがあると見たファンが会場に多数集まった。なかには『AKIRA』に登場する金田のコスプレ姿のファンも何人もおり、根強い大友人気を感じさせた。

 しかし当日の発表は、ファンの予想を遥かに超えるものだったに違いない。冒頭にMCが今回の発表はひとつでなく、大きな発表が全部で3つあることを明かす。そこで初めてパネルのタイトルが「New Project」でなく、「New Projects」と複数形だったことに気づく。
 また多くの新プロジェクトに相応しく、ゲストの登壇も幅広い。大友克洋氏に加えてアニメ製作会社サンライズの浅沼誠代表取締役社長と土屋康昌プロデューサー、講談社の吉田昌平氏、松竹の向井地基起氏らが登壇。アニメ会社、出版社、映画会社と各プロジェクトが様々なメディアで構成されることがわかる。

 最初に発表されたのは、大友克洋監督による劇場映画監督作品。アニメでも巨匠として知られるが、大友監督の長編アニメ映画はこれまでに『AKIRA』と2004年の『スチームボーイ』しかない。それ以来、3本目の劇場新作プロジェクトになる。
 映画のタイトルは『ORBITAL ERA』、スペースコロニーを舞台にしたSFストーリーだという。実はこのメインビジュアルは、発表前からAX(Anime Expo)の会場に発表前から大きく掲示されていたもの。発表前から多くの人が劇場新作のビジュアルを観ていた凝った仕掛けに驚かされる。そして「大友克洋×宇宙」というだけでファンの心をワクワクさせるのに十分だ。
 会場では主人公とされるキャラクターのビジュアルも紹介された。ただしこれは現時点のもので、今後大きく変る可能性もあるという。アニメーション制作は、『スチームボーイ』や『SHORT PEACE』などでも大友監督とチームを組んだサンライズとなる。

 もうひとつのアニメプロジェクトが、『AKIRA』の新しいアニメになる。こちらもアニメーション制作はサンライズになる。パネルの発表順番では3番めで、最後のプロジェクト。1番目が新作劇場映画、2番目は大友克洋氏の全仕事をまとめた講談社による出版プロジェクト。
 それより大きなニュースとされれば、会場の興奮は高まらないわけがない。そして会場のスクリーンで映し出された「『AKIRA』アニメ化」の文字。これが発表されると歓喜というよりも、むしろ会場全体にどよめきと驚きの声が広がった。まずは衝撃と言っていいだろう。
 ただし大友氏、サンライズによればプロジェクトは始まったばかりで、決まってないことが多い。公開時期も明らかでない。それでも1988年の劇場アニメの続編ではなく、全6巻の原作をあらためて映像で映画き直すことになるという。そうなれば新作はかなりのボリュームになるはずだ。どのようなかたちで、どういった映像でアニメ化されるのがファンに注目されることは間違いない。衝撃の再アニメ化は始まったに過ぎない。今後のさらなる発表、展開が引き続きサプライズを与え続けることになりそうだ。

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