2016年10月7日、アニメ企画・製作の創通が2016年8月期の通期連結決算を発表した。売上高は前年比で3%減の231億8500万円となったが、アニメ製作投資事業の収益の改善もあり、営業利益は35億円(2.6%増)、経常利益も35億円(3.2%増)、当期純利益は22億8300万円(9.1%増)とやや増加した。引き続き堅調であった。
このうちメディア事業は売上高173億5600万円(2.4%減)、営業利益は11億8300万円(32.6%増)である。売上高の減少は、プロモーションで大型案件の受託がなかったことが響いた。利益の伸びはテレビアニメの収益率改善が貢献した。
期中のプロデュース作品は前期並みの27作品になる。期間中の主な出資作品は「カードファイト!!ヴァンガード」シリーズや『リルリルフェアリ』、『アクティヴレイド』、『クロムクロ』、『ダンガンロンパ3』などだ。ガンダムシリーズは『鉄血のオルフェンズ』、『ガンダムUC RE:0096』があった。
一方ライツ事業は52億1800万円(5.9%減)で2期連続で減少となった。営業利益も11億8300万円で課金型ゲームからの版権売上げが減少傾向になっているガンダムシリーズは前期の40億1300万円から38億5800万円に、ガンダムシリーズ以外でも13億6000万円と前年の15億3100万円から減少している。新しいヒット作がなく、配分収入が減少したとしている。
2016年の業績を受けて、2017年8月期業績予想は、やや保守的となった。売上高は210億円、営業利益と経常利益は31億5000万円、当期純利益は20億6000万円と16年8月期より10%程度低くなる。これはアニメ事業においてプロデュース作品数の減少が見込まれるためだ。
全体に保守的になる中で、イベント事業は2億9700万円から6億円と大きな伸びを予想している。こちらは新たにイベント専門組織を立ち上げる。
2017年8月期に対して、中期事業計画は今後も積極的だ。5年後の売上高300億円、海外売上比率10%、営業利益率15%を掲げている。
アニメ企画・製作では年間2本から3本のペースで自社原作作品を投入する。さらにキャラクターグッズメーカーと協業することで、周辺事業を広げる狙いだ。国内事業の拡大にあたってはエンテインメント企業のM&Aを視野に入れる。
海外売上げは2016年8月期で過去最高の10億4900万円を実現したが、17年8月期はこれを12億円としている。さらに中期計画で30億円となるため、今後さらに大きな拡大が必要となる。
2016年に香港、シンガポール、中国・北京、タイ・バンコクで開催するキャラクターイベントは2017年、2018年も継続する構えだ。さらに海外企業との合弁事業による多角化も目指す。