日本と中東の大国サウジアラビアが手を組んだ長編アニメーション映画の制作が順調に進んでいる。フランスで開催する第72回カンヌ国際映画祭2019にて、東映アニメーションとサウジアラビアのマンガプロダクションズの共同プロジェクト『ジャーニー(The Journey)』が初のティザーを公開した。
『ジャーニー』は、古代アラビアの歴史と文化を題材にしたサウジアラビア初の長編アニメーションとなる。マンガプロダクションが基本コンセプトを担当し、東京とリヤドで制作をする。これまでも日本と海外の共同制作は少なくないが、日本と中東でのこうした大きな取り組みは初となる。クオリティが高く、かつ商業的にインパクトのある作品としており、サウジアラビアが目指すコンテンツ立国のプロジェクトの一環と言っていいだろう。
ティザーの発表に合わせて、スタッフも発表された。監督は『名探偵コナン から紅の恋歌』や『シドニアの騎士』などのヒット作で知られる静野孔文、キャラクターデザインはゲーム「逆転裁判」シリーズの岩元辰郎、音楽は「キングダム ハーツ」シリーズや『犬夜叉』の和田薫と豪華だ。制作チームは全体で330名になるという。
また制作は2年3ヶ月を予定している。東映アニメーションは、直近の決算発表会で本作の完成納品について2020年3月期と言及している。作品を目にするのは思った以上に早そうだ。
東映アニメーションとマンガプロダクションの協力は、2017年11月に結んだアニメコンテンツ共同制作の協定に基づいている。すでに長さ20分の短編『きこりと宝物』が2018年に制作されているが、今回はより大きなプロジェクトになる。
海外事業に力を入れる東映アニメーションにとっては、巨大であるが文化の違いが大きなアラブ圏に本格進出するきっかけになる。マンガプロダクションがコンセプトを担当し、制作に加わることで、宗教や風習などのハードルもクリアできる。
一方マンガプロダクションは、共同で取り組むことで長編アニメーション制作のノウハウを得ることが出来る。『ジャーニー』を代表作として、今後のプロジェクトにつなげていくこともできるだろう。
東映アニメーションは、これ以外にも海外に向けたアニメタイトルに積極的に取り組んでいる。7月19日からは『聖闘士星矢:Knights of the Zodiac』をNetflixオリジナルシリーズとして全世界で配信を開始する予定だ。海外でとりわけ人気の『聖闘士星矢』を、海外スタッフも参加するかたちでCGアニメ化したプロジェクトである。
中国向けではファミリー向けアニメーション『The Monkey Prince(仮)』を、手がける。日本、中国、米国の3ヵ国が参加するグローバルタイトルになる。
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