売上高20%増、利益40%増 東映アニメ成長持続で過去最高557億円

ファイナンス決算

■業績好調のキーワードは、「ゲーム」と「海外」
 国内アニメ製作大手・東映アニメーションの業績好調が続いている。5月14日に発表された2019年3月期決算で、その勢いを見せつけた。連結売上高・利益の過去最高を大幅に更新した。
 連結売上高は557億100万円と前年比21.1%増と高い伸び、史上初の500億円台に軽々と乗せた。利益も急伸している。営業利益は157億4100万円(39.6%増)、経常利益は162億6500万円(40.7%増)、当期純利益は114億7500万円(44.9%増)と、いずれも40%前後の伸びとなった。
 東映アニメーションでは、国内外でアプリゲームを中心としたゲーム化権販売が好調だったと説明する。また中国と北米を中心とした海外も全体を支えた。業績好調のキーワードは、「ゲーム」と「海外」だ。

■映画好調、テレビと映像ソフトは弱い
 事業の要となる映像製作・販売事業の売上高は195億3100万円(20.4%増)、営業利益41億4700円(71.2%増)である。
 劇場アニメが『ドラゴンボール超 ブロリー』、「プリキュア」シリーズのヒットで大幅な増収。テレビアニメは、放映本数が減少したことから減収だった。コンテンツは、DVDとBlu-rayに大きなヒットがなかった。また動画配信Netflix向けの『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』の製作収入も加わった。
 海外映像販売が好調で、それだけで109億3400万円である。映像製作・販売事業売上げの半分以上になる。中国向け・北米向け映像配信権の販売が好調だった。

 版権事業売上げは302億1000万円(25.2%増)、営業利益は143億6000万円(25.5%増)。映像製作・販売事業の1.5倍以上になり、作品そのものよりも二次展開で収益を確保していることがわかる。
 国内版権はアプリゲーム『ドラゴンボールZドッカンバトル』と『ドラゴンボール レジェンズ』が好調だった。遊技機向けも大口取引があった。
 海外版権も『ドラゴンボールZドッカンバトル』、『ドラゴンボール レジェンズ』、それに家庭用ゲーム『ドラゴンボール ファイターズ』があった。「ドラゴンボール」シリーズは商品化権も欧米で好調と、同シリーズの貢献が大きい。

■ドラゴンボールを中心に北米マーケット急伸
 また海外ビジネスの存在がますます大きくなっている。映像製作・販売事業の売上げのうち109億3400万円が海外番組販売。版権事業でも4割以上にあたる136億6200万円が海外版権である。
 売上高における海外売上高の割合は、前年の42%よりさらに上昇し46%に達した。5年前の22%のおよそ2倍だ。
 海外売上げの中心は、アニメ・マンガの需要が急伸する中国と思われがちだ。実際に全体に占める中国を含むアジアの売上は115億2200万円、割合は海外全体の44%を占める。しかし前年比伸び率は10.3%にとどまっている、その前年も伸び率10%程度と全体の伸びを下回る。中国ビジネスの成長は過去2年間で低下している。
 代って海外ビジネスを牽引するのは北米地域である。売上高はアジア並みの99億7000万円で前年比74.4%増にもなった。3年前の3.6倍だ。ヨーロッパの過去3年も伸びが大きい。東映アニメーションの海外ビジネスは、想像以上にグローバルでバランスをとっている。
 また海外の映像販売・版権での主要タイトルは『ドラゴンボール』と『ワンピース』だ。それぞれ海外売上げは113億9400万円と54億8200万円。この2タイトルだけで、海外売上げの7割近くを占める。

■今期は慎重見通しで減収減益予想
 2019年3月期は期初予想の売上高400億円を上回る好業績となったが、今期業績予想は控えめな数字を立てている。売上高・利益で減収減益を見通す。通期連結売上高は462億円(17.1%減)、営業利益は120億円(23.8%減)、経常利益は123億円(24.4%増)、当期純利益は85億円(25.3%減)だ。
 今年あった中国向け大口アプリゲームのMG(最低保証額)がなくなる反動減やアプリゲームの先行き不透明感から版権事業の大幅な減収を予想する。一方新規プロジェクト推進費などで費用の増加を見込む。
 それでも今期も引き続きポジティブな要因は少なくない。大ヒットとなってきた『ONEPIECE』の最新劇場映画の公開が夏にあり、これがヒットすれば上振れ要因になる。海外では中国向け大口配信権販売の維持を見込み、サウジアラビアとの合作アニメの納品も予定されている。

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