ここ数年、日本アニメの米国公開が急増している。数千スクリーンの全米公開でなく、数十から一千ぐれいのスクリーンを短期間で上映するパターンが定着したためだ。デジナルシネマの特性も利用したやりかたは配給コストを抑えることができるうえ、過去数年の日本アニメ人気の高まりで、その規模であれば利益化がでると見通しもある。
2018年は映画興行情報サイトBOXOFFICE MOJOで確認できるだけでも、17作品の日本アニメ映画が公開されている。実際にはBOXOFFICE MOJOにデータ化されていない作品もある。
ニューヨークやロサンゼルスの都市部であれば、いまや劇場アニメも米国でたっぷり観られる時代になった。これが2018年のアカデミー賞長編アニメーション賞に日本アニメが8本もエントリーする原動力になっている。
それでも17作品合計でも興行収入は1358万ドル(約15億円)程度だ。米国の中規模映画1本分にも及ばない。そうした点では依然、日本アニメ映画の米国興行には大きな壁がある。
それではどんな作品が上映され、ヒットになっているのだろうか。BOXOFFICE MOJOの2018年の興行収入を集計すると、最もヒットしたのは『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ~2人の英雄~』だった。最終的な興行収入は575万ドル、これは第2位の『メアリと魔女の花』の倍以上になる。ポケモンシリーズやドラゴンボールシリーズ、細田守作品など人気ブランドから一歩抜け出した。
『僕のヒーローアカデミア』は、2018年4月からのテレビ放送開始以来、テレビシリーズやマンガの人気が高まっている。映画のヒットもこうした一連の動きのひとつになる。
日本のヤングアダルト向けのアニメが配信を中心に人気だが、ベスト10に並んだのはより広い層に向けた映画、それにポケモン、ドラゴンボールである。映画ではまた異なったジャンルが求められてることがわかる。
2018年で注目したいのは、スタジオジブリ作品だ。1988年の『火垂るの墓』、1992年の『紅の豚』、2002年の『猫の恩返し』が公開され堅調な数字を残している。これまでディズニーが保有していた北米の配給権を、GKIDSが獲得したのに合わせて、あらためて劇場公開をしたものである。
2018年は中国でも『となりのトトロ』の劇場公開で堅調な数字を残している。海外で息の長いジブリブランドの力を見せつけたている。