2018年の中国のアニメーション映画興行は、やや勢いに欠けた。中国エンタグループ「中国票房」の数字をもとに集計したところ、米国のCGアニメーション映画を中心に伸び悩みが見られた。
トップとなったのは中国で定番キャラクターとして人気の高い「熊出没」の最新作『熊出没変形記』(6億500万元)である。中国映画のトップは『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』以来3年ぶりになる。
2位以下には米国のハリウッド映画が並ぶ。2位は『インクレディブルファミリー』(3億5400万元)、3位は『スパイダーマン:スパイダーバース』(3億5100万元)、4位『シュガーラッシュ:オンライン』(2億7100万元)だ。ただし年末公開の『スパイダーマン:スパイダーバース』は年明け後も公開が続いており、『インクレディブルファミリー』を超え米国アニメーションの年間1位になりそうだ。
その『インクレディブルファミリー』は前年の同じピクサー映画『リメンバーミー』が12億元超、『シュガーラッシュ;オンライン』も『ズートピア』が15億元超えだったことを考えれば苦しい数字だ。
ただし中国国産アニメーションも好調というわけでない。『熊出没変形記』こそ6億元を超えたが、その次の『新大頭児子和小頭父父3:ロシア奇遇記』ではいっきに1億5800万元までさがる。2018年には44本の国産アニメが上映されたが27本が1000万元以下、トップクラスの数本を除けば映画興行だけでリクープできた作品はほとんどないと見られる。中国では毎年30本~50本の国産アニメが公開されるが、すでにその採算性の悪さは指摘されている。
作品の多くがCGのキッズ・ファミリー向けに集中しており、米国作品も含めて競争が厳しいことに理由がありそうだ。2018年ではヤングアダルト向けのファンタジー『風語呪』(1億1200万元)や青春映画『昨日青空』(8300万元)が新しいジャンルで健闘している。こうした作品をどのように増やし、育てていけるかが今後の鍵になりそうだ。
日本アニメは公開本数が少ないながらも堅調だ。『ドラえもん のび太の宝島』が2D「ドラえもん」シリーズで過去最高の2億900万元で6位、トップ10に入らず11位だったが『名探偵コナン ゼロの執行人』の1億2700万元もシリーズ過去最高だ。
また『となりのトトロ』が1億5900万元と9位につけた。過去作海外映画の公開がほとんどない中国で、日本公開から30年目で劇場上映は極めて異例である。さらにその作品がデイリー、ウィクリーの興行ランキングで上位に並び続けたのは、中国における日本アニメ、スタジオジブリの人気の高さを感じさせる。