2018年の米国のアニメーション業界は、大きなニュースで沸き返った。6月15日に全米公開されたピクサーのCGアニメーション映画『インクレディブル・ファミリー』がアニメーション映画としては過去最高の興行成績記録を更新したからだ。
興行収入は北米だけで6億800万ドル、さらに海外の6億3400万ドルを加えるとチケット代だけで世界で約1400億円を叩き出したことになる。その巨大な数字に目を奪われる。
これまでのアニメーション映画興行成績の過去最高は同じピクサーが制作した2年前の『フォインデイング・ドリー』。しかし『インクレディブル・ファミリー』は『ドリー』の記録4億8600万ドルを2億ドル近く上回った。
それでもこの数字は『ブラックパンサー』の7億ドル、『アベンジャーズ』の6億7800万ドルに次ぐ3位にとどまっている。2018年は大型ヒットの相次ぎ、年間の興行収入の原動力となった。
2018年の年間北米映画興行収入は前年比7.2%増の118億6300万円。2年ぶりの増加となり、史上最高を更新した。
しかしアニメーション映画は、『インクレディブル・ファミリー』以外はやや勢いにかけた。アニメーション2位の『グリンチ』は2億6700万ドル『インクレディブル・ファミリー』の半分以下にとどまる。アニメーション映画歴代19位である。
またディズニーの最新作『シュガーラッシュ:オンライン』は1億7900万ドルで歴代52位、前作『シュガーラッシュ』の1億8900万ドルに届いていない。
注目されるのは、2Dスタイルを取り入れたヤングアダルト向けの『スパイダーマン:スパイダーバース』が2018年末の段階で1億ドルの大台を超1億1400万ドルに達したことだ。これまでは作品はあっても一般の大きな支持をとりきれなかったヤングアダルト向けのアニメーションの可能性を示すのに十分な数字であろう。
このほかウェス・アンダーソン監督の『犬が島』がアート色の強い中で全米公開を実現。3200万ドルの好成績を残した。一方でイギリスの名門アードマンの最新作『アーリーマン ~ダグと仲間のキックオフ!~』は820万ドルと物足らない数字となった。
日本アニメで最大ヒットになった『僕のヒーローアカデミア』はアニメーション全体で12位だった。興行収入は570万ドルである。