日本のITビジネス大手の楽天が、米国での電子書籍ビジネスで世界最大のスーパーチェーンであるウォルマートと手を組む。2018年8月22日、楽天は米国にて「Walmart eBooks by Rakuten Kobo」のサービス提供を開始した。
KOBOは2012年に楽天が買収した北米の電子書籍プラットフォーム事業会社。Amazon Kindle やNookと並ぶ存在だ。現在は「楽天Kobo」として、世界約190カ国・地域に約600万冊を提供している。
今回の事業協力では、ウォルマートの顧客向けに電子書籍やオーディオブックなどをアピールする。ウォルマートの一部店舗と「Walmart.com」で電子書籍リーダーを販売する。
書籍販売の新たな流通形態と注目されて久しい電子書籍だが、市場シェアではAmazon Kindleの存在感が圧倒的だ。NookやKoboに充分な勢いがない。そこで米国で高い知名度のある「ウォルマート」の名前を冠することで、一般層にKoboを広げる狙いがありそうだ。
一方、ウォルマートにとっても、Amazonは大きなライバルである。リアル店舗の巨人であるウォルマートの市場は、ネット販売の成長に脅かされている。そのECサイトの最大手がAmazonであるからだ。さらにAmazonは食品スーパー大手のホールフーズ・マーケットを買収しリアル店舗にも進出している。これまで以上に競合関係が増している。
ウォルマートも対抗してECビジネスの拡大に動いている。しかし、商品や流通で強みを持つウォルマートも、Amazonの得意とする動画配信や電子書籍の機能は持たない。そこで異業種連携することで、その部分を補う。電子書籍では「楽天Kobo」が、それというわけである。
楽天は2018年1月にウォルマートとの戦略的提携を発表している。今回の取り組みはその一環でもある。