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アニメーション事業大手IGポートは、2025年6月1日を目途に、グループ内のスタジオを再編する。100%出資のスタジオ子会社シグナル・エムディを、同じく100%出資の連結子会社プロダクションI.Gが吸収合併する。シグナル・エムディは解散する。IGポートによれば両社が持つ経営資源の有効活用を図ることが目的で、合併によりグループ全体の収益性の改善と向上が見込めるとしている。
IGポートのアニメスタジオは現在、プロダクションI.Gとシグナル・エムディ、さらにウィットスタジオを加えた3スタジオ体制。25年6月以降は、アニメーション制作事業は2スタジオ体制に集約される。IGポートは2019年にも子会社のアニメーション制作会社ジーベックの制作事業を外部売却のうえプロダクションI.Gが吸収合併している。
シグナル・エムディは2014年に、デジタル作画を中心としたフルデジタルアニメーションによる制作を目指すスタジオとして設立された。また子ども向けやファミリー向けの作品を中心にするとし、グループ内での差別化が図られた。
しかし制作面においてはアニメーション業界全体のデジタル化が進み、シグナル・エムディのみが目指すものではなくなっている。制作作品も、現在は幅広いジャンルに広がっている。直近では『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』や『星降る王国のニナ』、『火狩りの王』といった作品を手がける。
また2024年5月期の売上でプロダクションI.Gが45億2000万円、ウィットスタジオ42億円だったのに対し、シグナル・エムディは2022年5月期で売上が9億2200万円、経常損失を1億5000万円計上していた。2023年以降は有価証券報告書には、同社の売上高・利益は報告されていない。事業規模で他2社と開きが大きかったことも今回の決定につながったとみられる。