クランチロール、自社オリジナルアニメに本格進出、バーバンクと東京にスタジオ設立

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 日本アニメの海外向け配信の大手クランチロールを運営する米国企業イレーション(Ellation)が、日本アニメスタイルのオリジナルコンテンツの製作に乗り出す。イレーションは2018年8月22日、米国カリフォルニア州のバーバンクと東京に製作スタジオを立ち上げたことを明らかにした。2019年に自社製作のクランチロールオリジナルアニメ『High Guardian Spice』をリリースする。
 オリジナルコンテンツ製作にあたっては、新部門を立ち上げた。米国のアニメーションスタジオStoopid Buddy Stoodios 出身のマーガレット・ディーン氏がスタジオのトップを務める。

 『High Guardian Spice』は、世界を守るヒーローを育成する高校に通う4人の少女が主人公。4人はそのなかで様々なことを学び次第に成長していく。
制作の中心となるレイ・ロドリゲス氏は、長年の日本アニメファンであるという。また米国の人気テレビアニメーションシリーズ『アニマニアックス』の監督であったAudu Paden氏がアドバイスをする。
 『High Guardian Spice』の特長は、日本アニメスタイルを掲げていることだ。日本のアニメにイレーションが製作出資するのでなく、日本風の作品を自ら企画・制作する。米国ではオッター・メディアのグループ会社ルースター・ティースによる『RWBY』やNetflixオリジナルの『悪魔城ドラキュラ -キャッスルヴァニア-』など米国で製作した日本アニメスタイルのヒット作が出ている。クランチロール・オリジナルはこうした方向、米国が作る「ANIME」を目指すことになる。

 イレーションは、多くのファンが日本アニメを見て育ち、そこから影響を受けたクリエイターが世界中にいるとする。クランチロール・オリジナルはそのなかで、アニメファンに向けたグローバルなアニメーションを届けるとする。今後も複数の企画を発表する予定だ。

 イレーションを含むオッター・メディアは、この8月にAT&Tに完全買収されたばかり。現在は、メディアコングロマリットのワーナー・メディアの傘下にある。オッター・メディアにとってクランチロールの日本アニメの配信は成功したビジネスであるが、定額見放題サービスの巨大企業NetflixやAmazonプライムと比べれば、作品の量、視聴者数にも限界がある。
 イレーションがさらなる事業の拡大を目指すには、今後は事業の多角化が求められる。昨年からすでにクランチロールエキスポといったイベント事業もスタートしているが、オリジナルコンテンツもそのひとつになる。

 クランチロール(イレーション)はこれまでにも、日本アニメの製作委員会に多く投資をしてきた。2017年秋に放送された『URAHARA』では、製作委員会で重要な役割を果たしている。しかしいずれも共同出資のかたちを取り、また『URAHARA』のアニメーション制作は日本のアニメスタジオが手がけている。
 一方『High Guardian Spice』では、製作は全て自社、制作も自社スタジオとなるとみられる。作品の原作や権利を持つことでビジネスを広げる狙いがあるとみられる。日本アニメスタイルというジャンルが今後どこまで広がるのか、そこにクランチロールがどこまで役割を果たせるかがビジネスの成否を握っていそうだ。

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