2016年9月12日に、大日本印刷と丸善ジュンク堂による文教堂グループ株式の売却と、その株式の日本出版販売(日販)の取得が発表された。今回の取引で日販は、文教堂の株式の28.12%を保有する筆頭株主となる。これを受けて13日には、文教堂と日販の業務提携が明らかにされた。
日販は、出版取次販売最大手の同社と全国に書店を展開する文教堂が連携することで、書籍・雑誌販売の効率化と、業容の拡大と収益の向上が可能だという。書店の新しいモデルの構築や複合商品の共同開発を目指してまいります。
業務提携の具体的な内容として、真っ先に挙げられたのは、文具や雑貨などの複合商品の共同研究である。続いて、アニメ関連商品などでのオリジナル商品やプライベートブランド(PB)商品の共同開発と展開だ。販売データの活用と共有化、システム整備も行い事業の効率化も図る。
文教堂は2011年に「アニメガ」のブランドでアニメ、マンガ、ホビーに特化した併設店を全国展開している。既存の関連商品だけでなく、自社の開発したキャラクターグッズも販売している。さらに店舗のスペースを活かしたミニイベントなども実施する。
書籍・雑誌の売上が漸減傾向にあるなかで、今後は書店でも文具や雑貨、さらにキャラクター商品などの販売の占める割合が増えてくるとみられる。商品の共同開発は、そうしたトレンドも見据えたものといえるだろう。
そうした商品の中で、アニメやマンガのキャラクター商品はとりわけ有望である。文教堂がすでにアニメガで成果をだしていることに加えて、巨大市場が期待できる。アニメガと競合するアニメイトは全国に百数十店舗を展開し、年間売上高はおよそ600億円にまで達する。
文教堂のノウハウと全国約200の店舗網、そして日販の流通力と提案力を活かし、こうした市場を狙う構えだ。
このほか両社は、既存書店を利用した新たな業態の開発もするという。店舗と流通の連携が出版ビジネスに大きなインパクトを与えそうだ。