一度の信号の切り替わりで、時には3000人もが歩行するという東京・渋谷駅前の交差点。リオ五輪の閉会式での東京大会プレゼンテーションにも登場し、いまや世界的な観光名所としても知られる存在だ。
その交差点を特長づけるのが、各ビルに設置された大型ビジョンである。この4つのスクリーンを連動させたショートアニメがこんほど制作され、4月20日から放送され話題を呼んでいる。
作品は『トキノ交差』、渋谷スクランブル交差点を舞台に渋谷の1万年の歴史を60秒間で描くオリジナルのショートアニメである。特徴的なのは、4つスクリーンを連動させることを念頭に置いた、この場所ならではの映像企画となっていることだ。4面連動を意識する立体的な映像と音響効果を導入することで新感覚の映像体験を実現した。
さらに制作スタッフにもこだわった。監督の四宮義俊氏は、アニメ作家であると同時に日本画家でもある異色の才人である。アニメファンには「ポケモン映画20周年記念ビジュアル」や『言の葉の庭』のキービジュアルなどでお馴染みだろう。クリエイティブディレクターは広告界の大物・松宏彰氏、実写パートにはモデル・やねを起用する。プロデューサーを、『この世界の片隅に』にも参加した松尾亮一郎が務めた。
通行人には同じように見える大型ビジョンだが、今回使用する4つのビジョンは、それぞれ運営会社が異なっている。シブヤテレビジョン、 東京急行電鉄、東急エージェンシー、パス・コミュニケーションズ、毎日広告社の5社が関わっており、連動運用のハードルは実はかなり高い。
しかし今回は初めての5社共同プロジェクトとして、『トキノ交差』に参加した。渋谷スクランブル交差点でしか味わえない新たな体験とのコンセプトに魅力を感じたためだ。歩行者数は一日50万人とも言われるだけに、認知度向上には絶大な威力を発揮しそうだ。さらに視聴者がどんな感想を持つかも気になるところだ。
『トキノ交差』のプロジェクトは、街頭放送以外にも広がっている。放送開始と同じ4月20日には、本作の展示会開催と冊子制作を目指したクラウドファンディング企画も「READYFOR」でスタートした。
目標金額は180万円。達成の暁には、渋谷ヒカリエ8階のショーケース aiiimaで作品の原画や設定資料の無料展示を実施する。さらにその作品・資料を冊子にまとめる。新しいかたちの作品づくり、発表は、今後のアニメの在り方にも一石を投じそうだ。
上映は渋谷スクランブル交差点。”本気”の新作アニメ原画展開催へ
https://readyfor.jp/projects/tokinokousa