メディア・エンタイメント事業の強化を進める住友商事の新たなビジネスが、映像クリエイターのマネジメントになりそうだ。住友商事は2018年4月26日、デジタル事業の投資子会社SCデジタルメディアを通じて、米国のフルスクリーン(FULLSCREEN, Inc)と映像クリエイターのマネジメント会社AlphaBoat合同会社を設立すると発表した。
本社は東京・渋谷区に置かれ、代表には住友商事出身の西谷大蔵氏が就任する。西谷氏はデジタルメディア分野で、アニメなどの国内コンテンツの海外ライツ展開に携わってきた。
AlphaBoatの社名は全ての始まりを意味するAlpha (α)と、人や物を届ける乗り物であるボートを組み合わせた。とりわけ2010年以降の新しい世代のクリエィティビティーを世の中に届けたいとしている
住友商事は国内大手総合商社の一角だが、近年はアニメをはじめとする映像・エンタテイメント分野への進出に積極的だ。ジュピターテレコムが出資するアスミック・エースを通じて映画・アニメに大きく関わっている。また先頃は、中国の大手映画会社である大地メディアグループとの共同出資会社設立も発表したばかりだ。
昨年4月には、米国のメディアコングロマリットのチャーニングループの戦略的提携を結んでいる。今回AlphaBoatに共同出資するフルスクリーンもチャーニンのグループ企業である。戦略的提携がかたちになって現れた。
また住友商事は、やはりチャーニングループ属するイーレーションとアニメ製作出資のためのファンドも組んでいる。クランチロールは、海外向け日本アニメ配信の大手としてお馴染みである。
新会社設立で気になるのは、AlphaBoatがどのようなビジネスモデルを描いているのかだ。発表によればAlphaBoatは、国内のクリエイターに独自の動画制作や分析ツールの提供することでコンテンツ制作支援するという。また活動の場を作ることで、クリエイターの収益化を支援する。
同時に企業向けには、ソーシャルメディアや動画チャンネルを活用したマーケティング機能を提供する。ターゲットは若年層としている。ここでは新しいクリエイティブが重要になりそうだ。
事業化にあたっては、すでに米国で実績を築いているフルスクリーンのノウハウを活かす。フルスクリーンはこれまでに8万人以上のクリエイターと協業して、映像などのデジタルコンテンツ制作をしてきたという。