電通が世界的に人気の高い『キャプテン翼』で、グローバルビジネスを手がける。2018年3月28日、電通は4月からテレビ東京ほかで放送を開始する新作テレビアニメシリーズ『キャプテン翼』のアジアとオセアニア地域での幅広い権利を独占的に獲得したことを明らかにした。
獲得権利には、番組販売権、商品化権のほか広告使用権も含まれる。グローバルな広告事業を手がける電通ならではの、番組と企業を結びつけたプロモーションも期待される。
また電通はスポーツビジネスも得意とするが、サッカーアニメの『キャプテン翼』だけに、海外でのスポーツ振興とビジネス開発も目指す。各国のサッカー協会と連携、そのスポンサー企業各社とのスポーツマーケティング機会の創出を探る。アニメと海外ビジネスの新しい取り組みが期待される。
『キャプテン翼』は、マンガ家・高橋陽一が1981年に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始した人気作。1983年には初めてのテレビアニメ化があり、各国で放送された本作が世界的な大ヒットを生みだした。マンガ単行本の発行部数は世界累計8200万部を超えている。
2018年版の新アニメシリーズでは、第1巻からのストーリーをあらためて映像化する。往年のファンにとっては懐かく、新しい世代はすんなりと作品世界に入ることが可能になる。
今回電通が権利を獲得したエリアは、中国を含む東アジア、東南アジア、中近東、そしてオーストラリアやニュージランドなどが含まれる。中東や香港、インドネシアなど、『キャプテン翼』の知名度の高い地域も多い。
『キャプテン翼』の新アニメシリーズでは、すでにVIZ Media ヨーロッパが、全ヨーロッパを対象に同様に幅広い権利を獲得している。テレビ放送、配信、映像ソフト、商品化を統合的にビジネス展開するとしている。VIZ Media ヨーロッパは、日本の大手出版社である小学館、集英社、そして小学館集英社プロダクションが出資するライセンス会社である。
これまで日本アニメの海外展開は、日本企業が各国別に現地企業に、権利ごとにバラバラに販売することが多かった。権利の所持者がばらばらになることで、日本企業が得意とするアニメ、マンガ、グッズ、イベントなどを連動させたメディアミックス戦略を海外で取り難い理由のひとつとされてきた。
しかし今回の『キャプテン翼』では、放送に先立って日本の大手企業がまず広い地域で幅広いライセンスを獲得した。こうした企業を中心となり統合的なブランド展開、ビジネスが期待される。世界的に世代を超えて人気の高い『キャプテン翼』だけに、その成果に大きな期待が集まりそうだ。