今年で22回を迎える手塚治虫文化賞 マンガ大賞の最終候補作品が2月26日に発表された。リストに挙がったのは、『蒼き鋼のアルペジオ』(Ark Performance)、『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』 (田中圭一)、『狂気の山脈にて』(田辺剛)、『ゴールデンカムイ』(野田サトル)、『傘寿まり子』(おざわゆき)、『先生の白い噓』(鳥飼茜)、『それでも町は廻っている』(石黒正数)、『BLUE GIANT』(石塚真一)、『MATSUMOTO』(作:LF・ボレ、画:フィリップ・ニクルー、訳:原正人)、『約束のネバーランド』(原作:白井カイウ、作画:出水ぽすか)の10作品。今年も多彩なジャンルから候補が揃った。
今後、選考委員による審査を経て、4月下旬に10作品の中から大賞が決まる。また新生賞、短編賞も、特別賞も選出する。
手塚治虫文化賞は、前年に単行本で刊行された中から最も優れた成果を残した作品を顕彰する。1997年に朝日新聞社が創設した。賞の名称は、日本のマンガ文化の発展の大きな役割を果たした手塚治虫を記念している。マンガ作品に対する主要な賞としてよく知られている。
選考にあたっては、まず書店員、マンガ関係者が推薦を行う。これを参考に8人の社外選考委員が投票を行いポイント上位10作品を候補作とする。そのうえで審査委員会が合議制で賞を選出する。討議の内容が、外部に公表されるのも珍しいマンガ賞である。
例年のことながら、性格も異なる優れた作品が集まるだけに、賞の行方は予想もつかない。敢えて注目作品を挙げるとすれば、『ゴールデンカムイ』。今回で3年連続のノミネートである。書店員・マンガ関係者の推薦でも本作が1位だった。
過去にも『3月のライオン』(羽海野チカ)、『昭和元禄落語心中』(雲田はるこ)など、複数回のノミネートで賞を獲得した作品もある。2018年は受賞なるかは注目だ。
また日本のオウム真理教事件をフランス人の作家が作品とし、日本語翻訳されて『MATSUMOTO』は海外作品が候補に挙がった珍しい例である。鬱病と戦いを描いた『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』もあり、マンガ表現の幅の広さを感じさせる。
手塚治虫文化賞 http://t.asahi.com/tezk
[最終候補作品]
『蒼き鋼のアルペジオ』 Ark Performance
『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』 田中圭一
『狂気の山脈にて』 田辺剛
『ゴールデンカムイ』 野田サトル
『傘寿まり子』 おざわゆき
『先生の白い噓』 鳥飼茜
『それでも町は廻っている』 石黒正数
『BLUE GIANT』 石塚真一(小学館)
『MATSUMOTO』 作:LF・ボレ 画:フィリップ・ニクルー、 訳:原正人
『約束のネバーランド』 原作:白井カイウ、 作画:出水ぽすか