映像表現の新しい手法としてVirtual Reality(VR:仮想現実)が、昨今話題を集めている。ヘッドマウント型のディプレイを使用することで360℃の映像体験を実現、ユーザーはあたかも映像の中の世界にいるように感じること出来る技術である。
国内大手のエンタテインメント企業が、このVR市場に乗り出すことになった。8月24日、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)は、米国のLittle Star Media, Inc.と業務提携し、VRに特化した配信プラットフォーム「Littlstar Japan」を立ち上げることを明らかにした。2016年9月に日本版のプラットフォームサービスをスタートする予定だ。
Little Star Mediaは2013年にニューヨークに設立され、いち早くスマートフォン・PCほかのデバイス向けてVRのコンテンツ提供を開始した。同社の運営する「Littlstar」には、ABCやShowTime、ディズニー、ディズカバリー、RYOTなどの作品が配信されている。VR作品の提供ではすでに一歩先んじた存在になっている。
SMEはLittle Starと共同して、日本版VR配信プラットフォームを構築する。Littlstarは技術とサービスプラットフォームを、SMEはコンテンツマネジメントをそれぞれ担当する。当初はスマートフォン向けのアプリでのサービスとなるが、その後はPCやPlaystationVR、Gear VR、Oculus Rift、HTC Vive、Apple TVなどの多様なデバイスに対応する予定だ。さらにその後は、新たな事業開発も目指す。
VRが新しい技術として期待される一方で、まだまだコンテンツは十分でない。特に国内ではゲームやアトラクションなどの利用が先行し、映像作品として市場は未知数だ。専門の配信プラットフォームは、そうした市場開拓を後押しすることになる。
また、SMEが事業を手がけることも注目される。同社は国内有数の音楽会社のため、音楽ライブなど音楽ファンを惹きつけるコンテンツが期待できる。SMEはアニメを得意とするアニプレックスも子会社に抱える。VRを利用したアニメ作品の可能性もありそうだ。より幅広い層にVRを届けることに力を発揮しそうだ。
「Littlstar」 https://littlstar.com