米国の独立系映画会社GKIDSとフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭、そしてハリウッドビジネスの業界誌ヴァラエティ(Variety)が、米国・ロサンゼルスで新イベント「ANIMATON IS FILM」を立ち上げる。6月16日にGKIDS、ヴァラエティ、そして映画祭より発表された。
「ANIMATON IS FILM」は、長編映画のコンペティション、特別企画、回顧特集、短編などを中心に20のプログラムを用意。2017年10月20日から22日まで、ロサンゼルス・ハリウッド地区のTCL Chinese 6を会場にて実施される。ヨーロッパとアジア、そして世界のアニメーションの中心である米国を結びつけることを目指す。
組織委員会はGKIDSのCEOで創業者のエリック・ベックマン氏、アヌシー映画祭のディレクターのマルセル・ジャン氏、国際見本市MIFAのディレクターのマイケル・マリーン氏、ヴァラエティの発行人ミッシェル・ソブリノ・スターンズ氏らを中心に構成される。映画祭と映画会社、メディアがタッグを組むユニークな取り組みだ。
GKIDSはニューヨークに拠点を持つ米国の独立系映画会社、ニューヨーク国際こども映画祭の主催者としても知られている。また世界各国のクオリティの高いアニメーションの北米配給を手がけている。その中には、スタジオジブリの作品や『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』、『サマーウォーズ』、『ももへの手紙』など日本アニメも数多い。
『かぐや姫の物語』、『思い出のマーニー』などをはじめ、米国アカデミー賞長編アニメーション部門ノミネートの数では、ディズニー/ピクサーに次ぐ数を誇る。「ANIMATON IS FILM」ではそうした経験が活かされる。
映画製作、ビジネスが盛んな米国だが、商業面が中心であるため世界的な映画祭は実は意外に数が少ない。世界4大映画祭はカンヌ(ベルリン)、ベルリン(ドイツ)、ベネチア(イタリア)、トロント(カナダ)であるし、アニメーションではニューヨーク国際こども映画祭が数少ない海外映画の上映の場で、アニメーション専門の大きな映画祭は存在しない。
「ANIMATON IS FILM」は、そうしたギャップを埋めることが目的になる。世界的に知られた“アヌシー”のブランドと、GKIDSのイベント運営と映画配給、さらにヴァラエティの持つ映画業界へのネットワークがこれを実現する。
アヌシーは過去3年で、優れた作品を上映するだけでなく、世界のアニメーション業界の中心として、その役割を大きく変え始めている。ビジネスや人材育成、テクノロジーなどに広い分野への拡張を目指している。
6月14日には、ソウル・アニメーションセンターと協力した「アヌシー アジア 国際アニメーション映画祭(Annecy Asia International Animation Film Festival)」を2019年秋にソウルで開催することを発表したばかりだ。“アヌシー”を積極的に海外に送り出すのも新しい方向性のようだ。
米国は国内映画文化が豊かなだけに、海外映画への関心が低い傾向もみられる。「ANIMATON IS FILM」がこうした傾向を変えていくことも期待される。