8月11日に全国676スクリーンで公開をスタートした映画『ジャングル・ブック』が好発進を切った。お盆シーズンのため通常とはやや異なる木曜日での公開となったが、山の日にあたる初日11日(木)の興収は1億7618万400円、動員は12万450人にも達した。また8月13日、14日の2日間の週末興収は3億214万1400円、20万9916人。公開4日間で興収は6億818万3300円、動員は42万1992人となった。
2016年夏は記録的な大ヒット作が相次いでいることもあり、週末興収では『ペット』、『シン・ゴジラ』、『ファインディング・ドリー』の後塵を拝している。しかし、『ジャングル・ブック』が夏の大ヒット作の一角に喰いこむことは間違いない。口コミでの今後の広がりにも期待がかかる。
実際に『ジャングル・ブック』には、ディズニー・スタジオの大作映画という以外にも話題が多い。とりわけ異例ともいうべき映像づくりは、映像関係者から熱い注目を浴びている。
映画の原作は、いまから120年以上前にイギリスの作家ラドヤード・キップリングが書いた冒険小説だ。これまでにたびたび映像化された知名度の高さから、ジャングルで動物たちに育てられたモーグリの活躍は原作を読んでなくとも知っている人は多いはずだ。なかでもいまから50年近く昔にウォルト・ディズニーにより製作された長編アニメーションは有名だ。ディズニーのセル画アニメーションの傑作のひとつである。
ディズニーは、近年、かつてアニメーションで大ヒットした映画を、次々に実写として再映画化している。『シンデレラ』や『ふしぎの国のアリス』『眠れる森の美女』などである。
『ジャングル・ブック』もそうしたディズニーのリメイク映画だが、その作り方がこれまでと違う。全編にわたりCGとVFXを使っているからだ。主人公の少年以外で登場する生き物、動物たちは全てCG映像であることが売りなのである。黒ヒョウのバギーラ、クマのバルー、トラのシア・カーン、活き活きとした動物たちは全てCGによる作り出された。背景となる森も同様で、撮影のほとんどはロサンゼルスのダウンタウンで行われている。となると主人公は人間の役者なのだが、本作を実写映画と呼ぶべきか、れともCGアニメーションか、疑問が沸き起こる。『ジャングル・ブック』は、主人公の少年・モーグリ役のニール・セディの素晴らしい演技と共に、実写映画とアニメーションについて考えさせるこの夏の話題作である。
『ジャングル・ブック』 http://www.disney.co.jp/movie/junglebook.html