海外向けアニメ配信の国産サイト「DAISUKI.net」 毎月定額有料課金サービスも開始


日本アニメの海外向け配信ポータルサイト「DAISUKI.net」が、この夏にサービスを大きく拡張している。2016年7月8日より米国とカナダで、毎月定額課金の有料会員サービスを開始した。また6月には、海外向けに情報発信する英語のアニメ情報サイト「ANIME NOW!」もスタートしている。映像配信サービスと併せて、情報発信も強化する。
DAISUKI.netは、2012年に国内のアニメ関連企業が共同出資で設立したDAISUKI株式会社が事業のスタートになっている。その後、クールジャパン機構や大手出版社、グッズ会社も出資する株式会社アニメコンソシアームジャパン(ACJ)と統合、同社が運営を引き継いだ。日本のアニメ・マンガの有力企業が海外展開に向けて団結する。

DAISUKI.netはこれまで国内で人気の最新アニメを、広告つきで配信してきた。同社の強みは、日本と中国を除いた全世界を視聴可能地域とすることと、完全無料のサービスだ。一方で、こうしたやりかたはビジネスの収益性が弱いと指摘されていた。有料配信サービスを導入することで、ビジネス基盤を強化する。
DAISUKI.netでは、従来は誰でも利用できるゲスト、HD画質の映像視聴とコミュニティを利用できるメンバーのふたつを導入していた。さらにこのうえに一ヶ月5ドルのプレミア・メンバーが加わる。プレミア・メンバーになると、サイマル(同時期)配信で無料メンバーより早く最新作が視聴できるほか、他のメンバーが観られない作品も利用可能になる。さらに通常つけられる広告が大幅に減らされ、視聴の快適性が増す。
スタートと同時に『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』『ラブライブ!サンシャイン!!』『planetarian』などの話題作がサイマル配信に並んだ。限定視聴作品は、『新機動戦記ガンダムW』や『機動戦士ガンダム SEED』ほか、劇場映画からも『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』と豪華だ。

定額課金サービスは、DAISUKI.netのライバルであるcrunchyrollが導入し、売上の柱としている。さらに日本アニメ以外でもNetflixやHuluが導入する配信ビジネスの中心的な存在だ。とりわけHuluは先頃、無料配信を終了し、定額配信に事業を絞ることを明らかにしたばかり。定額課金が配信ビジネスの潮流となっている。
DAISUKI.netもこの流れに乗る。スタート当初は米国・カナダだけだが、今後は他の地域にもサービスを広げる。

さらに世界のアニメファンをサイトに集める仕組みも構築する。そのひとつが6月22日にスタートした海外向けのアニメ情報サイト「ANIME NOW!」である。日本アニメの新作情報などをいち早く英語で伝える。海外には日本のアニメ情報サイトは少なくないが、その多くは日本での発表された情報をもとにした二次情報に基づいている。日本から発信することで、より信頼できる情報提供する。また制作現場やクリエーターへの取材など、日本だからこその記事も掲載する。
日本アニメの情報発信による文化交流、そしてクリエーターや作品のプロモーション、さらには正規配信のサイト情報を伝えることで海賊版の撲滅も目指す。

Daisuki.net https://www.facebook.com/daisuki.net/
海外ファン向けア ニメ情報サイト 「ANIME NOW!」 http://www.anime-now.com/

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