電子書籍取次の有力企業メディアドゥが、1月10日に2017年2月期第3四半期の決算を公表している。第3四半期までの売上高は112億1900万円と37.4%増と引き続き高い伸びを続けており、通期業績予想の150億円を視野に入れる。
一方で営業利益は4億3300万円と4.3%増、経常利益は4億3200万円(4.1%増)、四半期純利益は2億6600万円(1.7%増)と低い伸びにとどまっている。好調な売上げを背景に多角化や海外戦略のための積極的な投資をしているためだ。
現在の経営の中心は電子書籍事業だ。売上高は102億9800万円(33.7%増)と全体の9割以上を占める。一方で、創業期に会社を支えた音楽・映像事業は2億3400万円(21.2%減)、ゲーム事業は2300万円(43.8%減)で、電子書籍に事業をフォーカスさせていることが判る。
その電子書籍事業は、各出版社から電子書籍のデジタル流通をとりまとめる「電子書籍取次」のディトリビューション、アライアンス/プラットフォームが好調を続けている。電子書籍取次は業界大手の出版デジタル機構やモバイルブック・ジェーピー、それに続くメディアドゥなど手がける企業が数社程度しかない。国内の電子書店やプラットフォームの数が多く、競争が厳しいのとは対照的だ。電子書籍市場の順調な拡大の恩恵をストレートに受けやすい。メディアドゥはさらに今期は、「楽天マンガ」を取引先に加えている。
今後の成長の鍵となるのは、新規事業の成否だろう。今期は、本の要約有料配信のフライヤーを子会社化したほか、電子書籍流通のシステム開発・業務アウトソーシングを目的とするメディアドゥテック徳島の設立を発表している。
海外展開では米国子会社Media Do International, Inc.を米国に設立している。海外でニーズの高いマンガを中心に、日本と同様のビシネス展開を目指す。事業の多角化が進む2017年は、同社にとってとりわけ重要な一年になりそうだ。