ルーカス美術館、ロサンゼルス建設を決定 印象派絵画から「スター・ウォーズ」まで

ルーカス・ナラティヴ美術館

 2017年1月10日、ルーカス・ナラティヴ美術館(Lucas Museum of Narrative Art)は、かねてより検討してきた美術館の建設地をカリフォルニア州ロサンゼルスのエクスポジションパーク内にすると発表した。ルーカス美術館は、映画監督ジョージ・ルーカス氏がこれまで収集してきた美術品やポップカルチャーのアイコンを収容・展示するものだ。
 美術館は当初はシカゴでの建設を予定していたが、中国の建築家マ・ヤンソン氏の建築デザインが環境を破壊するとの抗議を受けて2016年に建設地の変更を発表していた。新たな候補はロサンゼルス、サンフランシスコとされていた。美術館は、ロサンゼルス市の提案がより支援が厚かったとして今回の決定をした。

 博物館は、エキポジション・パークの敷地内で現在は駐車場2、3として使用されている場所になる。延べ床面積は2万4500㎡から2万5500㎡、このうち展示スペースには8300㎡から9300㎡が充てられる。公園の駐車場を利用しての建設になるが、新たに1800台収容の地下駐車場が設けられる。デザインは引き続きマ・ヤンソン氏を起用する。
 エクスポジションパークはロサンゼルス中心部に近い巨大な公園で、見事なバラ園でも知られる。現在もロサンゼルス郡自然史博物館、カリフォルニア科学センター、アフリカ系アメリカ人博物館など複数の博物館が立地する。ルーカス美術館の建設で、さらに大きな集客力を発揮しそうだ。
 また公園に隣接して、著名な映像学部を持つ南カリフォルニア大学も位置する。ルーカス氏は同校の出身者だけに、縁深い建設地の決定にもなった。

 ジョージ・ルーカス氏は1944年生まれ。1970年の『アメリカン・グラフィティ』で映画監督として注目を集めた。その後、「スター・ウォーズ」シリーズ、「インディ・ジョーンズ」シリーズで次々と世界的なヒットを放った。一方でプロデューサー、そして映画製作会社ルーカスフィルムの設立により経営者としも映画界に大きな業績を残している。2012年には、そのルーカスフィルムを売却。買収総額は40億ドルを超えた。
 美術館に収容されるコレクションは、美術館がナラティブ・アートと呼ぶ絵画・イラスト・写真関連、映画関連、さらにデジタルアート関連の3分野から構成される。コレクションの評価額は10億ドルともされている。

 美術館の公式サイトでは、コレクションの一部を公開しているが、その多様さは格別だ。ナラティブ・アートを「物語を紡ぐ視覚芸術」と位置付けて、アングルといった古典絵画からルノワール、ドガといった印象派の巨匠たち、初期の米国画家、ノーマン・ロックウェルなどのイラストレーター、絵本やコミック・アート、さらにロバート・キャパなどの写真家の作品もある。
 映画では設定画・デザイン画やVFXの資料、アニメの原画・セル画など。作品も「スター・ウォーズ」シリーズや「インディ・ジョーンズ」シリーズは勿論だが、『ロード・オブ・ザ・リング』、『ブレードランナー』、『市民ケーン』、ディズニー作品ほかと幅広い。美術館完成時には、多数の映画関連資料を見ることが出来そうだ。

 ロサンゼルス市では、2017年以降のオープンを目指してハリウッド地区に映画をテーマにしたアカデミー美術館も現在建設中である。こちらは映画芸術科学アカデミーのコレクションを中心に収容する。レンゾ・ピアノの設計する建物は約2万8000㎡とルーカス美術館とほぼ同じだ。今後、数年で、映画関連の美術館が相次いでロサンゼルスに完成することになる。
 アカデミー美術館が映画の歴史や制作の仕組みを紹介するのに対して、ルーカス美術館はジョージ・ルーカスが考える視覚芸術の概念から語るものになりそうだ。対称的なコンセプトの施設は、いずれも地域やロサンゼルスを訪れる多くの映画ファンにとって是が非でも訪れたい場所になるに違いない。

ルーカス・ナラティヴ美術館(Lucas Museum of Narrative Art)
http://lucasmuseum.org/

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