寺田倉庫とVisual Bank マンガ原画保管とデータベース化の収益化で業務提携

提携

 倉庫・保管事業の寺田倉庫とクリエイティブ作品の権利管理・流通をするVisual Bankが、マンガ原画やアニメの制作素材の保管とデータベース化で協力をスタートする。両社はマンガ原画やアニメ制作素材の保管とデータベース化を通じて収益化する取り組みで業務提携契約を締結した。
 寺田倉庫は原画などを最適な環境と技術で保管するサービスを提供し、Visual Bankは素材の権利管理のノウハウによりマンガやキャラクターなどの著作権活用支援をすることで、収益機会の創出を目指す。両社の協力により、保管、デジタル化、権利活用まで通した事業が可能になる。

 寺田倉庫は1950年設立の東京拠点の倉庫会社だが、近年は単純な倉庫業務だけでなく、専門性や付加価値の高い分野に進出する。とりわけ得意とするのは美術品で、東京・天王洲地区を中心に美術品の保管、ギャラリー向けの賃貸ビル管理、イベント運営などもする。
 さらにワインや機密文書などの保管にも事業を広げて、映画やテレビ番組などの映像フィルムの保存もそのひとつだ。また単純な保管だけでなく、映像や原画などのデジタル化やデジタルデータの管理、その活用サポートまでも取り組む。マンガ原画の取り扱いは、その延長線上にあるというわけだ。

 Visual Bankは2022年に映像・写真・イラストなどの素材管理・マネジメントの大手アマナより、事業承継をするかたちで立ち上がった。画像ライブラリのamanaimages.comの運営もする。このためライセンスビシネスのノウハウが豊富だ。
 文化的価値評価の高まりもあり、近年はマンガの原画やアニメの制作素材などの保管に広く関心が高まっている。行政でも文化庁を中心に、資料の収集・保管・活用に向けたネットワーク構築やアーカイブ化が進められている。
 しかし、保存の必要性が指摘される一方で、保管する資料の活用については、まだ十分に討議されていない。そうしたなかに寺田倉庫とVisual Bankは、ビジネスチャンスがあると見たようだ。実際に民間で保存資料の事業化が進めば、今後さらに広がると予想されるエンタテインメント分野の資料保存の在りかたにも示唆を与えそうだ。

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