IGポート第1Q決算 売上急伸もアニメ制作赤字拡大、版権は「ハイキュー!!」ヒットが牽引

ファイナンス決算

 プロダクション I.GやWIT STUDIOなどを統括するアニメ製作大手のIGポートが、2024年10月11日に2025年5月期第1四半期(24年6月~8月)決算を発表した。
 連結売上高が44億7900万円と前年比で79.6%増と大きく伸び、営業利益も4億4400万円と34.9%増になった。一方で経常利益は4億4300万円(3.5%減)、純利益は2億3100万円(31.4%減)だった。法人税などが前年同期と比べて増加したためである。

 売上高の伸びは映像制作事業、版権事業のいずれもが拡大していることが理由だ。アニメーションを中心とする映像制作事業は売上高17億6600万円(31.2%増)。ヒット作の『怪獣8号』、『SPY×FAMILY』の新シリーズ、また配信向けの『THE ONE PIECE』、『ムーンライズ』を制作中。期中は『しかのこのこのここしたんたん』、『シンカリオン チェンジ ザ ワールド』を納品している。
 売上が伸びる一方で利益確保には苦戦している。前年同期に900万円であった営業損失が3億9400万円に拡大した。受注損失引当金を計上したためで、作品の一部で制作が長期化していることやCG制作費、外注費が高騰しているためとIGポートは説明する。

 版権事業は急伸した。売上高は20億5400万円(345.6%増)、営業利益は7億4400万円(268.1%増)だ。新作、旧作とも好調だった。
 ただし版権事業売上にはIGポートグループが単独出資した『君に届け 3RD SEASON』に対するNetflixからのライセンス収入が含まれている。第1四半期にこれが一括計上されたことで売上が膨らんだ。
 本作においては配信会社からのライセンス収入が作品全体の制作費をカバーするかたちで、通常作品であれば映像制作事業の売上に相当する部分が版権事業に計上されている。配信会社との直接取引というビジネスモデルの違いによるものだ。IGポートでは決算説明でこうした情報を付記したうえで、主要な作品別の版権収入の割合を報告している。
 『君に届け 3RD SEASON』を除外したうえで、売上が大きかったのが「ハイキュー!!」シリーズだ。全体の28.1%を占めた。劇場映画のヒットにより国内興行収入、商品化収入が大きかった。さらに『怪獣8号』(12.9%)、「進撃の巨人」シリーズ(11.3%)、「SPY×FAMILY」シリーズ(8.2%)が続く。いずれも配信収入が好調だ。

 出版事業は売上高5億8600万円(2.7%減)、営業利益は1億2800万円(17.6%減)と減収減益だった。『王太子に婚約破棄されたので、もうバカのふりはやめようと思います』、『魔導具師ダリヤはうつむかない~Dahliya Wilts No More』、『転生貴族の異世界冒険録』が主力タイトルになった。

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