人気の絵本を子供たちに親しみやすい短編アニメーションにして届ける試みが、この5月にスタートした。講談社の絵本をアニメ化するプロジェクト「アニエホン」である。アニメと絵本(えほん)を合わせたコンセプトそのままにつけられたプロジェクト名である。
第1弾は、5月10日にテレビ放送と配信をスタートさせた『はりねずみのルーチカ』である。本作は2013年にスタートした かんのゆうこさんが文章を、北見葉胡さんがイラストを担当する。10年以上も続く人気シリーズである。フェリエの国で暮らすはりねずみルーチカを主人公に、様々な動物が登場する。
アニメ化にあたっては、30秒の短いバージョンと3分のロングバーションのふたつが制作されている。これは異なるメディアでのリリースを想定したものだ。
30秒バージョンではテレビ番組枠でなく、テレビコマーシャルの枠で放送している。アニメーションの放送としては、あまりないかたちを取る。
ロングバーションは配信用で、こちらも自由に視聴可能だ。さらに配信では英語字幕をつけて、海外の視聴者も視野に入れる。
短い作品ではあるが、制作チームは実力派が揃った。アニメーション制作は映画「すみっコぐらし」シリーズや『アグレッシブ烈子』など、次々とヒットを放つファンワークスを起用。さらに監督はアニメ『うっかりペネロペ』第4シリーズの演出担当を担当した沼口雅徳が担当する。絵本が持つ暖かい世界観を色鮮やかに表現したとする。
「アニエホン」では、今後も子供やファミリーを対象に絵本のショートアニメ化を進めていく。どんな作品が映像化されるのか、楽しみだ。
また本プロジェクトは海外にもアピールする予定だ。2024年6月9日から始まるアヌシー国際アニメーション映画祭と併設マーケットでブース出展、ステージでのプレゼンテーションを予定している。