サウジアラビアに本社を持つエンタテインメント企業マンガプロダクションズが、日本のアニメを軸にしたアラビア語圏でのビジネスを拡大している。マンガプロダクションズは、このほど株式会社TSUBASA及び電通と提携し、アニメシリーズ『キャプテン翼』の中東における番組配給、ライセンス管理、プロモーション業務に乗り出す。株式会社TSUBASAは、マンガ家・高橋陽一氏のマネジメント業務と作品『キャプテン翼』のライツ事業を手掛ける会社だ。
提携の軸となるのが、アニメ『キャプテン翼シーズン01』と『キャプテン翼ジュニアユース編シーズン02』の中東・北アフリカでも独占配信権だ。アラビア語圏を中心に、『キャプテン翼』のビジネス展開を進める。
『キャプテン翼』は、1981年に集英社「週刊少年ジャンプ」で高橋陽一氏が連載を開始したサッカーマンガ。これまでに全世界で9000万部以上を売り上げている。テレビアニメ化もされており、1980年代に国内外で一世風靡した。その後も継続的にアニメ化されている。
『キャプテン翼シーズン01』と『キャプテン翼ジュニアユース編シーズン02』は、2018年からスタートしたリメイク作品で主人公の小学生時代から新たに描き直した。
アラビア語圏では80年代から『キャプテン翼』のアニメが放送され、『キャプテン・マジッド』のタイトルで人気を博してきた。マンガプロダクションズは新たな作品で往年のファンを掴み、さらに新しい世代の視聴者獲得を目指す。
マンガプロダクションズはサウジアラビアが国をあげて新興するエンタテインメント産業の中核企業で、アニメやゲーム、マンガなどを広く手がける。日本との取り組みも積極的で東映アニメーション、SNK、スクウェア・エニックス、住友グループ、Crunchyrollといった企業と業提携をしている。
中東・北アフリカ地域は「MENA」と呼ばれることが多いが、アニメの海外ライセン販売でこれまでヨーロッパと合せて販売されることが多かった。さらにそこから現地企業にサブライセンスされることから、日本アニメはMENA地域では人気があっても関連ビジネスは活発でない。
今回この地域の有力企業がライセンスを直接管理することから、作品の展開も活発化しそうだ。マンガプロダクションズは、8月に製作発表された『UFOロボ グレンダイザー』のリブート版『グレンダイザーU』でも、日本以外の配給権・ライセンスを獲得している。