熊本市内に拠点を持つ熊本大学文学部が、2022年10月1日付で付属研究機関として国際マンガ学教育研究センターを設置した。熊本大学は「地域と世界に開かれ、共創を通じて社会に貢献する」を目的に教育研究拠点大学を目指しているが、その構想の一環だ。
同センターは日本のマンガ・アニメなどの国際的研究拠点として、「研究」「教育」「社会貢献」を軸に研究成果の国内外への発信をする。研究のための人材育成及やマンガをはじめとする文化資料のアーカイブにも力を入れる。センター長のほか大学教員8名が兼任し、特定事業研究員 1名を加えた体制でスタートする。
またセンターの設置に合わせて熊本大学は、2023年4月には大学院社会文化科学教育部(博士前期課程)文化学専攻に現代文化資源学研究コースを新たに設置する予定だ。マンガ・アニメを大学の特色のひとつとして打ち出す。
国内教育機関のマンガ研究では、京都精華大学や明治大学などの先行する教育機関が複数ある。しかし国立大学がこうした専攻・コースを設けるのは珍しい。マンガ・アニメ分野の研究の活性化を促すひとつになりそうだ。
今後は京都精華大学国際マンガミュージアム、北九州市漫画ミュージアム、明治大学米沢嘉博記念図書館などと連携する予定。全国規模のマンガ資料アーカイブネットワーク構築の一角を担える体制を構築する。
センターは地域文化における活性化も期待されている。熊本県では現在、産官学連携による「マンガ県くまもと」構想を打ち立てている。熊本県内にある合志マンガミュージアムや湯前まんが美術館(那須良輔記念館)などのマンガ関連施設を連携させるハブになることを目指す。
マンガ研究やその関連資料のアーカイブ化などへの注目が近年ましている。そうした動きをさらに活性化させる動きになりそうだ。