KADOKAWA角川会長、松原副会長辞任 役職員起訴でガバナンス検証委員会設置

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 2022年10月6日、大手エンタメ企業KADOKAWAの取締役会長 会長執行役員である角川歴彦氏と取締役副会長 副会長執行役員の松原眞樹氏がそれぞれの職から退任した。10月5日に両氏から辞任の申し出があり、6日に開催された同社の取締役会で承認した。両氏とも取締役には引き続き留まる。
 これは今年9月から各種メディアで報じられてきた東京 2020 オリンピック・パラリンピックのスポンサー選考過程における贈賄容疑に関連する。9月27日には同社顧問で元専務執行役員の芳原世幸氏、元2021年室室長の馬庭教二氏が、さらに10月4日に角川歴彦氏が贈賄容疑で逮捕後に東京地方検察庁より起訴されたのを受けたものだ。

 KADOKAWA側は東京2020オリンピック・パラリンピックの出版部門のスポンサー選定決定において有利に取り進めるため、組織委員会元理事・高橋治之氏の関連会社に賄賂としてコンサル料を渡したとの容疑をかけられている。
 KADOKAWAは今回の辞任について、役職員の逮捕、起訴に至ったことを厳粛に受け止めたものとしている。角川氏と松原氏は、大会のスポンサー契約締結時の経営者責任者の立場にあった。役職員の逮捕・起訴は東京2020オリンピック・パラリンピックのスポンサー選定では高橋治之氏、またAOKIホールディングス前会長の青木拡憲氏らも逮捕、起訴されている。

 またKADOKAWAは10月5日付で、今回の事件の事実関係を調査するガバナンス検証委員会を設置した。自社のガバナンス、内部統制などの原因の究明や再発防止策の提言をする。委員会メンバーは弁護士3名、社外取締役2名。いずれもKADOKAWAと利害関係を有しない外部の専門家となる。
 
 辞任した角川歴彦氏は、KADOKAWAの前身となる角川書店創業者の角川源義の二男にあたる。大学卒業後に角川書店に入社。1992年独立して出版社メディアワークスを立ち上げるものの、1993年に実兄の角川春樹氏の社長解任に伴い社長に就任した。
 以後、創業家出身者の辣腕経営者として活躍した。経営は出版のほか、映画やIT分野への積極的なM&A戦略もあり、日本を代表するエンタメ企業に育てた。長年、経営者として大きな求心力を発揮してきただけに、起訴後の会長辞任と裁判が続くと見られることから、経営への影響力の低下は免れない。大物経営者の影響が弱まることが、KADOKAWAの事業運営が今後どうなるか、業界内外から注目を集めそうだ。

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