テレビ東京グループが、2021年8月31日付でアニメ専門CSチャンネル「AT-X」を運営する株式会社エー・ティー・エックスを完全子会社化した。
テレビ東京HDは、これまで傘下のテレビ東京とテレビ東京メディアネットを通じて同社株式の過半数である52.58%を保有していた。残りはスカパーJASAT(20.11%)、電通グループ(5%)、文化放送(1.32%)、ジェンコ(0.44%)、読売広告(0.29%)、創通(0.26%)が保有していた。今回グループ以外が持つ全株式をテレビ東京が取得し、実質的にテレビ東京HDの完全子会社とする。エー・ティー・エックスは、資本金12億8150万円。株式譲渡価額は公表していない。
完全子会社化の目的は、グループの成長戦略であるアニメビジネスへの機動的な対応だ。人的リソースも含めてテレビ東京と連携することで、CS放送だけでないイベントや商品化などライツ関連も含めた多角的なアニメビジネスを進めていく。
2000年に設立、開局した「AT-X」は、同業のアニマックスやキッズステーションとは差別化したコアファン向けの番組を得意としてきた。声優出演番組などにも定評があり、キッズアニメが得意なテレビ東京と得意分野もやや異なる。
コアファン向けにすることで、月額視聴料も高めに設定されている。しかし近年は、動画配信サービスの普及もあり加入者は伸び悩む。そこで放送以外の製作出資やイベント関連事業を拡大してきた。
年間売上高は19年3月期が51億9600万円、20年3月期が59億7600万円、新型コロナ感染症拡大の影響があった21年3月期は46億4900万円。いずれも当期純利益で3億円台を確保している。優良企業と言ってよいだろう。
一方でテレビ東京は地上波キー局のなかでもアニメを得意とすることで知られている。今年4月期には週43本のアニメ番組を放送する。2009年と早くから「アニメ局」を設立、着実に事業を拡大して20年3月期のアニメ事業収入は228億8700万円となった。9年連続で過去最高を更新している。
「AT-X」完全子会社は、統合的にアニメビジネスの展開、さらに規模の利益も期待することになるだろう。拡大続くアニネビジネスだが、業界シェアの獲得競争は激烈だ。今回のエー・ティー・エックス買収は、さらなるアニメ事業の成長を目指すテレビ東京HDの積極姿勢の表れともいえる。