「君の名は。」中国公開決定12月2日から、異例のスピード上映

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日本で大ヒット上映中のアニメ映画『君の名は。』の中国公開が早くも決定した。12月2日より上映をスタートする。作品はすでにアクセスブライト(東京・港区)が、中国市場での興行権、テレビ放送権、配信権を獲得したことが明らかにされていた。中国の展開がどうなるか関心を集めていただけに素早い展開が話題を呼びそうだ。
中国で海外映画配給を担当する中国電影集団公司と華夏電影発行有限責任公司、それに北京光線影業有限公司(エンライト・メディア)が上映を手がける。エンライト・メディアは2015年11月にアクセスブライトに出資し、同社をグループ会社化している。

『君の名は。』は新海誠監督の最新劇場アニメ。8月26日の公開日に猛烈なスタートダッシュを見せると同時に、口コミで人気を広げ、11月7日までに興収約180億円と記録的な数字を残して大きな話題を呼んでいる。
そのムーブメントは海外にまで広がり、シッチェス・カタロニア国際映画祭では最優秀長編アニメーション賞を受賞、富川アニメーション映画祭でも長編部門の特別賞、観客賞を受賞している。さらに10月21日に公開された台湾では、邦画史上歴代最高の興収を実現した。新海誠監督はもともと中国で人気が高かったことから、ここでも大きな成果が期待出来そうだ。

今回、とりわけ関係者を驚かせるのは、中国でのスピード公開の実現だろう。中国は海外映画の審査の手続きあることに加えて、年間で上映できる海外映画に厳しい枠を設けてきたからだ。
日本映画は2016年に『ドラえもん のび太の日本誕生』、『ビリギャル』、『寄生獣』をはじめすでに8本公開されている。このうち6本がアニメだ。2015年の2本(『Stand by Me』と『名探偵コナン 向日葵』)を大きく上回った。こうした環境のなかでの公開決定は、関係者の本作に対する意気込みの大きさの表れでもある。また中国公開は、フランスや韓国、米国よりも先行することになりそうだ。

中国で『君の名は。』を手がけるエンライト・メディアは、1990年代末に設立された。映画やテレビ番組、タレントマネジメントなど幅広いビジネスを手がけ、映画業界で中国トップ3に入る大手企業である。
日本とのビジネスにも積極的で、中国とのコンテンツビジネスに定評あるアクセスブライドに出資し、グループ会社化している。また、2017年公開を目指した手塚治虫の人気マンガ『ブラックジャック』の実写映画化企画も進めている。

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