2015年4月にスタジオジブリ出身を中心に設立されたスタジオポノックが、この春に6周年を迎えた。設立からさほど時間は経っていないが、長編アニメ映画第1作『メアリと魔女の花』を制作、国際オリンピック委員会(IOC)と短編アニメを作るなど世界の注目を集める。早くもその存在感を発揮している。スタジオへの高い評価を支えるのは、スタジオジブリ譲りの丁寧で質の高い映像づくりだ。
その映像づくりの基礎となるアニメーターの若手人材育成に、スタジオポノックが乗り出した。2021年4月1日、スタジオポノックはアニメーター育成の教育プログラム「Ponoc’s “Principles of Animation”Program(”P.P.A.P.”)」を新設、受講者の募集を開始した。
「P.P.A.P.」の目的は、次代の長編アニメーション映画制作で活躍する人材の育成だ。プログラムは原画を目指すアニメーターを志す若者を対象にする。学歴・経験は問わない。日本語でのコミュニケーションも取れれば国籍も不問となっている。
年間教育プログラムと時間も充分とり、期間中にアニメ映画の基礎となる「アニメーションの原則」を観察・デッサン力、演出・表現力、レイアウト・作画力を中心に実技と座学で学んでいく。講師陣には第一線で活躍するトップアニメーターを迎える。
研修プログラムでありながら月額22万4000円の報酬がある有期雇用契約となっているのも大きな特徴だ。安定した環境で制作現場のプロと共に体験しながら、長編アニメ映画の現場で活躍できるアニメーターになるための基盤を築く。
過程修了後は、正社員雇用制度も設けている。プログラムが業界就職に結びついている。スタジオポノックの自社スタジオだけでなく、業界全体の発展を見据えた取り組みでもある。
スタジオポノックによれば、近年のアニメーション制作の現場は慢性的なクリエイター不足にある。日本発の手描きアニメは世界からの注目を集めているが、作品数が増加する一方で人材育成が追いついていないのも理由だ。人材育成の遅れは、資金や時間の不足、育成環境や教育者不足もある。優秀なクリエイターを育てることは業界全体の課題だ。
才能の成長を促すには、適切な待遇、機会が必要だ。これに対してスタジオポノックが出した答えが、今回の「P.P.A.P.」というわけだ。
昨今はアニメ業界全体で、人材不足は深刻な問題として受け取られている。WITスタジオやサンライズなど、いくつかのスタジオで人材育成プログラムを設けるなど新しい動きが増えつつある。
そのなかで「P.P.A.P.」は、長編アニメ映画を掲げる。スタジオは現在も劇場長編アニメの制作に取り組んでいる。テレビアニメが中心になりがちな業界において敢えて長編映画を軸に掲げるスタジオポノックならと言えるだろう。
スタジオポノックは育成プログラム「P.P.A.P.」とあわせて、4月1日からは2022年度の新卒・第二新卒を中心とした制作進行と動画専門職の正社員の募集も開始している。いずれも詳細はスタジオポノック公式サイトのリクルート情報のページで確認できる。
スタジオポノック
https://www.ponoc.jp/
採用情報
https://www.ponoc.jp/recruit/