映画業界の老舗企業の日活に、アニメ事業専門の部署が立ちあがった。日活は2021年4月1日付で組織変更を実施、そのなかで映像事業部門に「アニメ事業部」を新設した。
アニメ事業部にはアニメへの製作出資業務が移管される。アニメ事業の業務効率化と迅速化を目指したものだという。アニメ事業部長は、執行役員で版権営業部門も担当する執行役員の林宏之氏が就任した。
日活は近年、アニメ事業により積極的に関わるようになっている。製作出資も始めている。独立部署の立上げでよりアニメに踏み込む。
4月1日には自社サイトで、製作に参加する作品の紹介もスタートした。ラインナップは、『アルテ』、『神達に拾われた男』、『WAVE!!〜サーフィンやっぺ!!〜』、7月からセカンドシーズンがスタートする『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』などが並ぶ。若者向けの深夜アニメが中心となっている。
国内映画業界では、実写を中心に事業を手がけてきた映画会社がアニメ事業を強化するケースが増えている。ギャガは2016年にアニメ事業に進出、2019年から社内カンパニー「ギャガ・アニメーションズ・カンパニー」を立ち上げている。木下グループは2018年にアニメスタジの福島ガイナックス(現ガイナ)を子会社化した。
変わったところではタレントマネジメントの吉本興行がアニメに本格進出している。全額出資した2020年12月全国公開の『えんとつ町のプペル』は20億円を超えるヒットになった。21年には明石家さんまプロデュースの『漁港の肉子ちゃん』も公開予定だ。
新型コロナウィルス感染症拡大の影響を受けて、2020年から洋画興行が大幅縮小した。邦画ビジネスの割合が拡大している。そのなかで『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』や『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』など大ヒットが続く、劇場アニメが全体を牽引する。アニメの存在感がますます大きくなるいことで、今後もアニメ事業への新たな参入企業は増えそうだ。