宗田理の人気小説を原作にアニメ化されたアニメ映画『ぼくらの7日間戦争』が、海外で大きな賞に輝いた。10月8日から18日までスペインで開催されたシッチェス・カタロニア国際映画祭にて、本作がアニメーション部門の最優秀長編作品賞を受賞した。
シッチェス・カタロニア国際映画祭は世界3大ファンタスティック映画のひとつともされている。SFやファンタジー、サスペンス、時代もの、アニメーションなどのジャンル映画で世界有数の存在で、その歴史の長さからも映画業界で注目度が高い。今年は現地での上映とオンラインを組み合わせたハイブリッット型の映画祭となり、伝統を引き継いでいる。
長編アニメーション部門は長年、日本作品が強い分野となっている。これまでに今 敏監督『東京ゴッドファーザーズ』、大友克洋監督『スチームボーイ』、細田守監督『時をかける少女』、『サマーウォーズ』、新海誠監督『君の名は。』などが最優秀賞を次々に受賞している。ここから世界に羽ばたいていった。日本アニメ世界進出の登竜門ともなっている。
2018年には細田守監督『未来のミライ』、19年には湯浅政明監督『きみと、波にのれたら』が受賞。本年の『ぼくらの7日間戦争』で3年連続の日本作品の栄冠である。『ぼくらの7日間戦争』も、ここから海外での認知度を広げそうだ。
2020年のオフィシャルコンペティショは5作品で、他に日本から『HELLO WORLD』と『ルパン三世 THE FIRST』も出品されていた。5作品のうち3作品が日本アニメだった。
『ぼくらの7日間戦争』の原作は、シリーズ累計発行部数が2000 万部という大ベストセラーだ。これまでにも映像化されている。1988年に宮沢りえが主演した実写映画は傑作と名高い。
今回は小説の舞台となった“七日間戦争”から 30年後の北海道を舞台とした新たな物語になった。『ドリフェス!』や『かくしごと』の監督を務めた新鋭の村野佑太を監督、『甲鉄城のカバネリ』や『コードギアス 反逆のルルーシュ』の大河内一楼が脚本を起用、新しい時代の物語を生みだした。アニメーション制作は、老舗の亜細亜堂が担当した。2020年に新たなかたちで描きだされた『ぼくらの七日間戦争』が、アニメの新しい歴史も作りだしている。