中東系「MBC Anime」がアニメ製作委員会に参加、「カミエラビ」と「僕らの雨いろプロトコル」

MBC Anime

 サウジアラビアのメディアグループMBCと米国のTOKYOPOPが提携するアニメプロジェクト「MBC Anime」が、日本アニメに製作出資する。その第1弾作品と第2弾作品が発表された。
 いずれも2023年10月からスタートする深夜枠のテレビアニメシリーズである。ひとつはフジテレビ系「+Ultra」枠で放送される『カミエラビ』、もうひとつはテレビ朝日系「Numanimation」枠で放送される『僕らの雨いろプロトコル』だ。
 MBC Animeは両製作委員会のメンバー企業となり、製作に参加する。そのうえでこの秋からMBCグループ傘下で中東最大の映像配信プラットフォーム「Shahid」にて、作品を地域独占配信する。

 MBC Animeはサウジアラビア・リアドに本社を持つMBCと米国のマンガ出版社TOKYOPOPの提携でスタートしたプロジェクト、今年3月に立上げを発表したばかりだ。MBCは中東・北アフリカ地域最大のメディアグループで、現在は配信プラットフォーム事業「Shahid」の拡大に力をいれる。そのなかで若い世代に人気の日本アニメに目をつけた。
 これまでこの地域での日本アニメ展開は、日本の製作者からグローバルライセンスを獲得したヨーロッパや北米の企業からサブライセンスされるかたちが多かった。MBCはMBC Animeを通じて直接に作品を調達し、さらに製作委員会参加により製作にも関わる。日本の製作者にとっても、これまで十分に展開されていなかった地域のビジネス拡大が期待できるなどメリットが大きい。

 今回、MBC Animeが出資する2作品は、いずれも地上波キー局が主幹事を務める共通点がある。さらに両作品とも、原作からアニメのために開発されたオリジナル企画でもある。MBC Animeのビジネスの方向性も窺われる。
 『カミエラビ』は人気ゲーム「NieR:Automata」ディレクターのヨコオタロウが原案、クリエイター じんがシナリオ、キャラクターデザインをマンガ家の大久保篤が担当する。また監督に『シドニアの騎士』の瀬下寛之を起用する話題作だ。自身の願いを叶えることの出来る「カミサマ」になるために少年少女が戦うバトルロワイヤルなストーリーが展開する。
 フジテレビと米国のクランチロールが手を組む「+Ultra」プロジェクトの最新作になる。ここにMBC Animeも参加し、グローバルな枠組みが強化される。
 『僕らの雨いろプロトコル』もグローバルなトレンドを掴んでいる。高校2年生の主人公・時野谷瞬がeスポーツを通じて成長していく姿を描く。こちらはテレビ朝日が近年力をいれるアニメプロジェクト「Numanimation」の作品。国内ではテレビ朝日系全国24局ネットで放送、配信もされる。

 MBC Animeは当初より日本での幅広いアニメ事業を目指すとしている。これが第一弾との位置づけで、今後もさらに多くの作品への出資を予定しているという。今後のビジネス展開が注目される。

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