2020年7月30日に発表されたKADOKAWAの2021年3月期第1四半期決算で、電子書籍の売上げが際立っている。連結決算では売上げで小幅減収、利益も前年並みとなったが出版事業は好調で、なかでも電子書籍の伸びが牽引した。
全体の連結売上高は470億2300万円(5.5%減)、営業利益は35億8100万円(3.2%減)、経常利益は38億5100万円(5.7%増)、当期純利益は24億5500万円(5.7%減)。映像・ゲーム事業、Webサービス事業が減収減益だったのに対して出版が増収増益となった。
出版事業は売上高292億5400万円(6.1%増)、営業利益21億4400万円(12.2%増)だ。電子書籍・電子雑誌の伸びが著しい。期間中の売上高は四半期ベースで過去最高の101億円と、はじめ100億円の大台を超えた。KADOKAWAの全体売上げの2割を超える。
電子書籍が23%増、自社プラットフォームBOOK☆WALKERストアでの売上が28%増、さらに他社電子書籍ストアへの外部販売は37%増になった。市場全体が伸長していることに加え、マーケティング施策の効果があったと説明する。
映像・ゲーム事業は、売上高99億3700万円(18.2%減)、営業利益が13億4400万円(41.1%減)と、利益の落ち込みが大きい。新型コロナウイルス感染症の影響が大きかった映像部門が厳しかった。
アニメ制作の遅れが発生したほか、海外向け版権販売の延期などで収入のずれも発生した。そうしたなかで『天晴爛漫!』、『白猫プロジェクト ZERO CHRONICLE』、『プランダラ』などで海外向け権利販売をし、『この素晴らしい世界に祝福を!ファンタスティックデイズ』などはオンラインゲームとのコラボレーション収益があった。
新型コロナウイルス感染症は映画館休業や座席数制限でも、映像事業に影響している。映画配給やデジタル映画鑑賞券「ムビチケ」の販売減少も響いた。
Webサービス事業は売上高52億3000万円(20.0%減)、営業利益は5億2000万円(2.6%減)となった。ニコニコ動画の月額有料会員が引き続き減少している。ただし減少幅小さくなっている。
売上高減少で大きかったのは、ニコニコ超会議のリアル開催がなくなりネット開催に移行したことだ。同事業で8億円の減収になる。ただしネット開催になったことで損失幅が縮小、収益改善にはつながった。