2019年世界映画興収前年並み420億ドル 、米中で伸び悩み

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 米国のMPA(Motion Pictures Association)はこのほど「2019 THEME レポート」をまとめ、2019年の米国及び世界の映画関連統計を公表した。
 MPAは米国の大手映画製作会社30社から構成される業界団体である。映画製作に関連する活動をしており、映画産業統計のとりまとめもそのひとつ。北米で最も充実した映画産業のレポートになっている。2019年からは映像プラットフォーム大手のNetflixもメンバーに加わり、今回の統計から同社製作もMPA会員作品に含まれる。

 MPAの調査では、2019年の世界の映画興行収入は総計で422億ドル(4兆5500億円)となった。世界的な映画産業の成長は続くが前年比1%増と低い伸びにとどまった。
 低成長は世界2大市場である北米、中国が伸び悩んでいるためだ。北米(米国・カナダ)は114億ドルで4%減少、中国は1%増の93億ドルであった。成長率では中国が北米を超えたが、現状で北米と中国の市場規模にはまだ差がある。

 こうしたなかで高い成長をみせたのが19%増なった日本で、アジア太平洋の市場拡大を牽引した。2019年がヒット作に望まれたことに加えて、円高傾向であったこともドル表示の伸びを押し上げた。
 日本の興行収入は24億ドルで、北米、中国に次いで第3位になる。さらに韓国が英国を上回る16億ドルで初めて4位につけた。これにより北米以外の上位は中国、日本、韓国の東アジア3ヵ国が占めることになった。大作映画のグローバルビジネス化がますます進むなかで、東アジアのマーケット、その人気動向の重要性が増しそうだ。
 5位以下は、英国(16億ドル)、6位フランス(16億ドル)、7位インド(16億ドル)、8位ドイツ(12億ドル)、9位メキシコ(10億ドル)、10位ロシア(9億ドル)。伸び率ではメキシコの13%増、ドイツとイタリアの9%増が大きかった。

 世界の映画興行は伸び悩んだが、ホームビデオとデジタル配信(定額課金除く)は、配信を軸に急成長を続けている。世界市場は映画興行を上回る588億ドルの14%増。ホームビデオは18%減101億ドルと大きく減少したがデジタルが24%増の487億ドルだった。
 またサブスクリプション(定額課金)市場は8639億ドル。28%増と急伸しており、MPAの統計からも配信ビジネスの拡大ぶりが窺える。

MPA(Motion Pictures Association)
https://www.motionpictures.org/https://www.motionpictures.org/

「2019 THEME レポート」
https://www.motionpictures.org/research-docs/2019-theme-report/

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