住友商事がカナダの大手メディアグループのコーラス・エンタテインメント(Corus Entertainment)と組んで、海外向けにオリジナルのキッズアニメを開発する。2018年2月1日、コーラス・エンタテインメントは、子会社のアニメーション製作会社ネルバナ(Nelvana)が住友商事とビシネスパートナーシップを結んだことを発表した。住友商事とネルバナは、世界市場に向けたアニメ企画を開発・共同製作に取り組む。
共同プロジェクトを実施するにあたり、住友商事は藤原茂樹氏が代表取締役を務める株式会社ゼロイチの事業を獲得した。玩具やゲーム、アニメの企画開発の経験が深い藤原氏から協力を得る。
住友商事は国内大手商社の一角で、多角的な事業のひとつとして通信やエンタテインメントを手がけている。近年は、国内外で成長著しいアニメ事業にも積極的だ。
通信関連のグループ会社ジュピターテレコムの子会社アスミック・エースを通じてアニメへの製作投資をするほか、米国のアニメ専門映像配信のクランチロールとは日本アニメに投資するクランチロールSCアニメファンドを設立している。さらにクランチロールを保有するメディアコングロマリットのチャーニン・エンターテインメントと戦略的業務提携を結ぶ。海外で人気の高いアニメを軸に、グローバルなビジネスを目指す。
コーラスはそうしたなかでの新たなでの新たなビッグパートナーというわけだ。コーラスは日本では知名度が低いがカナダを代表するメディアコングロマリットで、グローバル規模で事業を展開している。ネルバナはそのアニメーション部門で、世界有数のアニメ製作会社である。これまでも日本とはベイブレードシリーズや『爆丸』などを共同製作している。
今回も日本が得意とする最新の玩具とテレビアニメを結びつけた作品を期待しているのだろう。目指すは玩具連動型の大型プロジェクトの可能性が強い。
そこで鍵となるのが藤原茂樹氏の株式会社ゼロイチだ。国内大手商社では三菱商事がディーライツを通じた企画開発、伊藤忠商事が石森プロを子会社にするなどアニメビジネスの例は少なくない。しかし、住友商事自身は企画面での経験がない。
藤原茂樹氏は、ハドソンでの『ボンバーマン』、タカラでの『ビーダマン』と『ベイブレード』、さらにバンダイの『アイカツ!』、『マジンボーン』とメディアミックス型のキッズタイトルのヒット作に関わってきた。こうした経験を今回のプロジェクトに活かす。
住友商事、ネルバナとも、現在はまだ具体的な作品名やスケジュールは明らかにしていない。両社の取り組みが今後どのように進むのかが注目される。