レミ・シャイエ監督が長編部門で2度目の受賞、アヌシー映画祭がアワード発表

『Calamity, a Childhood of Martha Jane Cannary』

 2020年6月20日、世界最大規模で知られるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭は、コンペティション主要部門の受賞作品・受賞者を発表した。本年は映画祭を取り巻く世界的な状況を鑑みて史上初のオンライン開催となったが、例年と同じく数多くの傑作がアワードを競い合った。
 長編アニメーション部門グランプリにあたるクリスタル賞には、フランスとデンマークの合作である『Calamity, a Childhood of Martha Jane Cannary』が選ばれた。審査員賞はロシアのAndrey Khrzhanovsky監督『The Nose or the Conspiracy of Mavericks』、審査員特別賞はポーランドの『Kill It and Leave this Town』だった。
 3作品とも2D主体で、アニメーション映画祭における近年の3DCGの退潮を感じさせた。日本からは『ぼくらの七日間戦争』、『ルパン三世 THE FIRST』がノミネートされていたが、いずれも受賞に届かなかった。

『Calamity, a Childhood of Martha Jane Cannary』

 『Calamity』は昨年のアヌシーのWork in Progress部門でも紹介された話題作だ。西部開拓時代の米国で活躍した女性ガンマンのマーサ・ジェーン・カナリーの子ども時代を描いた冒険ストーリーになっている。監督はフランスのレミ・シャイエ。製作もフランスのMAYBE MOVIES、そしてデンマークのNORLUMである。
 レミ・シャイエは2015年にも初監督作品『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』でアヌシーの観客賞を受賞している。製作も同じ組み合わせだ。5年ぶり2作目で再びアワードに輝いた。前作に引き続き、近世で自身の道を切り拓く若い女性を主人公としている。カットアウトのシンプルで印象的な作風も変わらず。

 長編アニメーションの新しい映像表現にフォーカスするCONTRECHAMP部門は、ラトビアとノルウェーの合作『My Favorite War』。同部門の審査員特別賞には韓国の『The Shaman Sorceress』が選ばれた。
 またCONTRECHAMP部門に出品されていた日本の岩井澤健治監督の『音楽』は、ノミネート全作品の中から選ばれる音楽賞を受賞している。
 このほか主要な賞では、短編部門クリスタル賞にTheodore Ushev監督『The Physics of Sorrow』(カナダ)、学生部門はロシアからニューシネマ・モスクワ校の『Naked』(Kirill Khachaturov)が受賞した。

 例年は映画祭は月曜日から6日間開催され、土曜日のアワード発表と伴に幕を閉じる。しかし今年はオンラインということもあり、さらに一週間続く。主要プログラムはアーカイブされオンラインで鑑賞可能だ。
 当初はオンラインのみの開催で盛り上がり心配された。しかし多くのプログラムをネット上に移し、ビミーティグもオンラインで数多く行われている。予想以上の成果を出しつつあると言ってよさそうだ。

アヌシー国際アニメーション映画祭
https://www.annecy.org/

受賞リスト
https://www.annecy.org/festival/awards

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