アニメ映像ソフトの大手エイベックス・ピクチャーズの代表取締役社長が、2017年4月1日付で交代する。現代表取締役副社長の勝股英夫氏が昇格する予定だ。
エイベックス・グループ・ホールディングスは2017年1月1日にグループ持株会社の業務執行体制を変更、その一環として発表された。勝股英夫氏は1月1日付でグループ執行役員に就任した。
エイベックス・グループは総合エンタテイメントグループで、音楽、ライブ、アニメ、映像配信など幅広い事業に強みを見せる大手。2016年には2020年までの成長戦略を掲げた「avex group 成長戦略 2020」を発表しているが、業務執行体制の変更はその推進に向けた一環だ。
これまで19名から構成されていたコーポレート執行役員の制度を廃止、新たに6名のグループ執行役員を選任した。持株会社の執行役員の数をこれまでの1/3以下まで絞ることで、業務の迅速な決定と執行を目指すとみられる。勝股氏はその一人となる。
エイベックス・グループの成長戦略では、今後成長が見込まれる「ライヴ」「アニメ」「デジタル」3分野に集中的に投資することが掲げられている。エイベックス・ピクチャーズは、このひとつ「アニメ」事業を担当している。
勝股英夫氏は、長年、アニメ分野で多くの実績を築いてきた。アニプレックスの代表取締役執行役員専務、A-1 Pictures代表取締役社長などを経て、2012年にエイベックス・グループに移籍した。
エイベックス・グループは2011年に映像マーケティング本部を設置し映像事業を強化、さらにこれを発展するかたちで2014年4月にエイベックス・ピクチャーズを設立した。2015年には『おそ松さん』、2016年には『KING OF PRISM』、『ユーリ!!! on ICE』といった大ヒット作が次々にでるなど、重点分野のアニメを中心に業績は好調だ。勝股氏の執行役員起用には、こうしたアニメ・映像事業のさらなる拡大も視野にいれたものと言えるだろう。
また勝股氏は、アニメタイムズ社の代表取締役社長も兼任している。2015年3月に設立されたアニメタイムズ社は、アニメ作品の配信権利をとりまとめ映像配信各社に供給する役割を持っている。言わば、デジタル分野でのアニメの流通会社である。
エイベックス・ピクチャーズのほか、講談社、集英社、小学館、小学館集英社プロダクションの出版社や、サンライズ、シンエイ動画、トムス・エンタテインメント、ぴえろ、オー・エル・エムなどのアニメ制作会社、さらにNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン、キングレコード、バンダイビジュアル、アニメイトといった大手の音楽映像メーカーも出資する。こちらはアニメとグループのもう一つの重点分野であるデジタルが融合している。アニメ事業の新しいかたちでの飛躍を狙った会社になっている。