国際プロジェクトや水江未来の長編も ニューディアーが製作ラインアップ発表

『水江西遊記(仮)』

 インディペンデントのアニメーションの才能を世界に届けるニューディアーが、2020年から21年にかけて進める製作ラインナップをこのほど発表した。
 国際共同製作による短編アニメーション6作品、それに水江未来監督による長編『水江西遊記(仮)』、さらに国内外で高い評価を受けるアニメーション作家・和田淳が挑むインディ・ゲームまで。バラエティたっぷりの企画が並ぶ。早いもので2020年春リリース、その後は2021年以降まで次々に作品が完成する。

 ニューディアーはアニメーション研究・評論家の土居伸彰が、2015年に設立した会社・レーベルである。アニメーションの豊かな才能を様々なかたちで世に発信していくことを目的にしている。これまでは海外の傑作の国内配給や、新千歳空港国際アニメーション映画祭といったイベントなどの企画・運営をしてきた。
 2020年からは、こうした取り組みをさらに進める。それが日本国内作家による作品の企画・製作である。作品づくりから関わることになる。

 現在取り組んでいる作品には、日本を代表する若手のアニメーション作家が多数並び驚かされる。今回唯一つに長編となった『水江西遊記(仮)』の水江未来監督は、色と音楽の競演が特徴の抽象アニメーションの第一人者。各国の映画祭の受賞、コンペティションの常連である。今回は初の長編と作家活動のメルクマールのなりそうな作品だ。
 ベルリン国際映画祭短編部門銀熊賞など、こちらも映画祭の常連である和田淳監督はゲームに取り組む。アニメーション作家のインタラクティブメディアの取り組みが近年増えているが、そうした潮流を代表する作品になりそうだ。2020年夏リリース予定だ。

 国際共同製作は、ニューディアーの新たな特徴になる。フランスの新進のアニメーション会社MYUプロダクションと組んで、6つの短編アニメーションを製作する。
 『I’m Late』は冠木佐和子が監督を務める。アヌシー国際アニメーション映画祭学生部門審査員賞ほか受賞で国際的にも知名度が高い。日本の若手の代表だ。
 『Emergences』はテキストと映像のシンクロが特徴の折笠良の新作。ミュージックビデオ、広告映像、アニメのOP・EDでも活躍する平岡政展の『Floating Around』は、オリジナル短編としては2013年以来となる。和田敦は短編でも企画がある。『半島の鳥』では「大人になること」についてポエティックに描く。

 水尻自子の『不安な体』は、十和田市現代美術館からの委託作品ともなっている。2021年の美術館10周年記念展がプレミアとなる予定。
 現代アートとアニメーションが接近する一方で、インディーズと商業との境界は近年ますます曖昧になっている。久野遥子はそんなジャンルの揺らぎを象徴する存在だ。大学卒業制作『Airy Me』で映画祭にて高い評価を得る一方で、映画『花とアリス殺人事件』、深夜テレビアニメ『宝石の国』、さらに「劇場版クレヨンしんちゃん」や『ドラえもん』でも活躍する。2019年にはマンガ『甘木唯子のツノと愛』で文化庁メディア芸術祭新人賞も受賞した。久野は『おばけと魔女』とタイトルしたオリジナル短編に挑む。

 ニューディアーでは、これらの作品で短編映画の新しい売り方を模索するとしている。今年度中にオンライン・プラットフォームを活用した先行販売をする予定だ。
 アニメーションを制作するだけでなく、アニメーションでいかに作家・製作が自立するかを目指す。ニューディアーの活動は、まだまだ拡大しそうだ。

ニューディアー http://newdeer.net/

【ニューディアー今後の製作作品リスト】
『水江西遊記(仮)』
(長編、水江未来、日本、尺未定、現在企画制作中)
『マイ エクササイズ』
(インディ・ゲーム、和田淳、日本、プレー時間15〜20分程度、2020年春〜夏リリース予定)
『I’m Late』
(短編、冠木佐和子、日本=フランス=デンマーク、11分、2020年完成・公開予定)
『Emergences』
(短編、折笠良、日本=フランス、8分、2021年完成・公開予定)
『半島の鳥』
(短編、和田淳、日本=フランス、15分、2021年完成・公開予定)
『Floating Around』
(短編、平岡政展、日本=フランス、5分、2021年完成・公開予定)
『不安な体』
(短編、水尻自子、日本=フランス、6分、2021年完成・公開予定)
『おばけと魔女』
(短編、久野遥子、日本=フランス、尺未定、2021年完成・公開予定)
※『(作品タイトル)』(フォーマット、監督名、製作国、尺、完成・公開予定時期)

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