映像・デザイン制作のソフト・ツールを開発・提供するアドビ(Adobe)が、新たなサービス拡張に動いた。2021年8月19日、アドビは動画のクラウディングストレージと共同編集ツールを提供する「Frame.io」と、同社の事業買収で合意したと発表した。
譲渡金額は12億7500万ドル(約1400億円)。買収後は「Frame.io」の事業は、アドビのクリエイティブ・クラウドチームの一部門となる。
Frame.ioは2015年に米国ニューヨークで、Emery Wells氏とJohn Traver氏により設立されたベンチャー企業だ。同社の提供する「Frame.io」は動画をクラウドにアップすることで多くの人と共有することが出来ることだ。日本でお馴染みの「Vimeo」に近いが、よりポストプロダクションの作業に適している。リモートで動画を見ながら複数でコメントや連携する各種アプリケーションでの編集作業を可能にする。利用は無料からより高度な機能を持つ月額課金による有料プランが用意されている。
設立から歴史は浅いが急激に支持を集め、100万人以上のユーザーを抱える。グーグルやNetflix、HBOといった米国を代表する企業でも使用されている。
アドビはCG制作ツ-ルなどを開発・提供するグローバル企業だ。PhotoshopやIllustrator、InDesign、After Effectsなどの世界的ツールなどを保有する。近年は、ソフトの売り切りでなく、クラウドサービスを利用することで、どこでも利用できるサブスクリプション型(定額課金)の「Adobe Creative Cloud」を積極的にマーケティングしている。
「Frame.io」は映像制作者に広く利用されていること、ユーザーの重なり、既存ビジネスとの親和性の高さから既存のアドビのサービスとの大きなシナジーが期待出来る。今後は、既存ビジネスに「Frame.io」を加えた、サービスの総合化を目指すことになりそうだ。