IGポート第1四半期 出版が急伸、アニメ制作の落ちこみカバーで利益確保

ファイナンス決算

プロダクション I.G、ジーベック、WITスタジオ、シグナルナルMDのアニメ制作会社4社、そしてマンガ出版のマッグガーデンを束ねるIGポートは、2016年10月14日に2017年5月期第1四半期の決算発表をした。連結売上高は前年同期比で29.4%と大きく減少し、12億5400万円にとどまった。
一方、前年同期はマイナスであった利益面では、今期は黒字を確保した。営業利益は1億100万円、経常利益は8300万円、そして当期純利益は1600万円である。

売上高の減少は、映像制作事業でのアニメーション制作の落ち込みが大きかった。売上高は4億6200万円(前年同期比63.8%減)である。
IGポートでは、作品をヒットさせるために受注を絞りクオリティーを重視したためとしている。またクオリティー重視により制作コストが上昇し、セグメント損失は前年同期の2600万円より8600万円に拡大した。期間中の主要作品は『甲鉄城のカバネリ』、『フューチャーカードバディファイトDDD』、『ジョーカーゲーム』などである。

制作部門の落ち込みを大きくカバーしたのは、出版事業と版権事業である。出版の売上高は前年同期の約2.9倍となる4億5000万円である。テレビアニメ化された『あまんちゅ!』、実写映画化された「にがくてあまい」シリーズが急伸した。これに伴い前年同期の3100万円の損失から1億2000万円の利益に一転した。
出版部門のマッグガーデンからは、WITスタジオのオリジナルアニメ『甲鉄城のカバネリ』の小説版も刊行されている。映像化展開の急増も含めて、アニメ事業と出版事業の連携がうまく回った結果と言える。

版権事業は売上高が前年同期に引き続き高水準で2億7400万円(3.4%増)と堅調であった。利益は1億円(82.6%増)である。これは映像マスターの減価償却が減ったためである。アニメーション制作の絞り込みと共に、製作出資も絞られたようだ。版権事業の主要作品は『進撃の巨人』、「ハイキュー!!」シリーズ、『新世紀エヴァンゲリオン』、「蒼穹のファフナー」シリーズである。
主要5社のほか、IGポートは「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」製作委員会を連結決算に、「あまんちゅ!」製作委員会を持分法適用会社に含めている。

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