アヌシー映画祭、短編100作品以上をオフィシャルに選出 日本からも4作品

アヌシー国際アニメーション映画祭

 世界最大規模のアニメーション映画祭であるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭が、2024年も6月9日から15日までの7日間行われる。開催まで3ヵ月を切るなかで、コンペティションに参加するオフィシャルセレクションが順次発表されている。
 すでにオフィシャル短編(Official Short Films)、オフリミット短編(Off-Limits Short Films)、パースペクティブ短編(Perspectives Short Films)、ヤングオーディエンス短編(Young Audience Short Films)、学生(Graduation Films)の短編5部門の作品が出揃った。短編部門のセレクション総数は106本にもなった。数は多いが、例年数千ものエントリーがあるアヌシーだけに、選出されるだけでもかなり狭き門である。オフィシャルセレクション選出は、作家にとって大きな意味がある。

 2024年の短編部門の特徴は、採択本数が広がっていることだ。古くからあるオフィシャル短編部門は30作品と数が絞られた一方で、オフリミット部門が12作品、パースペクティブ部門が16作品、ヤングオーディエンスが8作品との振り分けになっている。学生部門は40作品だ。

 日本からはオフィシャル短編部門に、泉原昭人監督の『カワウソ』、折笠良監督の『みじめな奇蹟』が選ばれている。30本中の2本は悪くない結果だろう。
 『カワウソ』はベルリン国際映画祭の短編部門にもすでに選ばれている。スタジオマンゴスチンの制作で、絶滅したはずのニホンカワウソと少女の出会いをモノクロの2Dデジタルで描く。
 『みじめな奇蹟』は日本のニューディアーとフランスのMiyuプロダクション、カナダのNFB(国立映画制作庁)の国際共同制作。すでに国際的に知名度の高い折笠良がフランスの詩人アンリ・ミショーのテキストにインスパイアされ、文字自体をアニメーションとして変容させていくユニークな映像としている。2023年にはオタワ国際アニメーション映画祭で短編部門グランプリに輝いた注目作である。

 オフィシャル短編部門はヨーロッパが21本、北米が8本、他には日本とイランから各2本、韓国が1本との内訳になった。(国際共同制作のダブリあり)
 オフリミット部門、パースペクティブ部門も、ヤングオーディエンス部門には日本関連の作品はなかった。一方でガーナやチリ、香港、台湾、ブラジル、ジョージア、エジプト、タイ、ギリシア、インドなど多彩な地域の作品がプログラムされている。
 学生部門も注目されるカテゴリーだが、日本からは多摩美術大学で学ぶチン・リントウさんの『Return』、多摩美術大学大学院の木原正天さんの『Yapolaponky』がセレクションされている。

 オフィシャルセレクションはこの後、4月初めにテレビ部門、コミッション(受託)部門、4月半ばにVR部門、最後4月末に長編部門が発表される。6月15日の映画祭最終日に、各部門からアワード受賞作品が発表される。

アヌシー国際アニメーション映画祭 コンペティション
https://www.annecyfestival.com/the-festival/competition

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