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トンコハウスにアードマン Netflixがコマ撮りアニメで2つのオリジナル
- 2019/11/23
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世界有数の規模を誇る映像配信プラットフォームNetflixは、ヤングアダルト向けのアニメーションでは日本アニメのオリジナル作品で注目されることが多い。しかしNetflixがキッズファミリー向けの分野でもオリジナルアニメーションのラインナップを急拡大していることはあまり知られていない。そのひとつが11月15日より世界配信を開始した同社初のオリジナル長編劇場アニメーション『クロース』だ。
『クロース』は『怪盗グルーの月泥棒』や『ノートルダムの鐘』に携わったセルジオ・パブロスを監督に、サンタ・クロースの誕生秘話を2Dで描く。巧みなキャラクターと心暖まるストーリーで、クリスマスに向けた大作だ。
『クロース』を米国アカデミー賞のエントリーもすることで、Netflixは劇場アニメーションでも存在感を示した。そして早くも2020年に向けて次なる作品が明された。イギリスの名門スタジオであるアードマンによるオリジナル新作『ROBIN ROBIN』だ。
アードマンは『ひつじのショーン』や『ウォレスとグルミット』といった世界的なヒット作で知られる。家族の中で育ったネズミの女の子・ロビンの成長を描く。作品はアードマンが得意とするストップモーション(コマ撮り)アニメーションとなる。2020年のクリスマスシーズン公開を予定する。
アードマン作品はこれまで制作に手がかかることから、テレビの短編シリーズや劇場映画として制作されることが多かった。それが今回は配信向けの長編となる。ピクサーやディズニーといった人気スタジオを抱えるライバルの「Disney+」に、世界的な有名スタジオ「アードマン」で対抗する。
Netflixのファミリーキッズ向けオリジナルアニメーションは、『ROBIN ROBIN』にとどまらない。11月21日には、トンコハウスによる冒険シリーズ『ONI』の制作も発表した。トンコハウスは短編CGアニメーション『ダム・キーパー』で米国アカデミー賞でノミネートされるなど、丁寧な映像づくりで知られている。ピクサー出身の堤大介と日系米国人のロバート・コンドウが2014年に設立した。現在は米国と日本の双方にスタジオ持つ。
『ONI』は日本の民話のなかに登場する「鬼」をモチーフに幅広い世代に向けた作品になる。トンコハウスはこれまでCGにフォーカスして制作してきたが、驚くことは『ONI』ではアードマンと同様にストップモーションを取り入れる。そこにCGを合わせるハイブリットな映像を実現する。作品のストーリー、テーマだけでなく、新しい技術も注目される作品だ。
堤大介が全体のクリエイティブと制作を統括する。また制作にあたっては日本のストップモーションスタジオのドワーフ、CGエフェクトのMegalis VFXが協力する。
2020年に向けて、映像配信プラットフォームの世界での競争は激化している。これに勝ち抜くには、魅力的なラインナップが重要だ。ファミリーキッズ向けのアニメーションは視聴者を獲得できる重要コンテンツのひとつである。
イギリスの名門スタジオ、日本も巻き込んだ新興スタジオの野心的な試み。Netflixの挑戦の行方も注目される。